参議院選挙が,,,,,

2007年5月28日

昨日は,統一地方選の県議会選挙に新人で当選した高原さんが,今日は衆議院4区で活躍している柚木議員が事務所に寄られた。柚木議員は昨日も年金問題の採決をめぐるニュースで大きく報道されていた。それぞれの方が今度の参議院選挙でなんとか政権交代の道筋がみえるような戦いをしたいとの決意を述べられていた。戦後ずっと自民党の一党支配(厳密には違うが)が続いている実態はある意味異常である。木曜日にご挨拶に寄られた参議院に挑戦する姫井さんの健闘を心から祈りたい。しかし,憲法問題が曖昧にされて政権論争がなされることになにかしらしっくりとしない気持ちがある。どうしても参議院選挙に関して冷めてしまう心があるのはこうしたことが原因かもしれない。

土曜日には,依頼者の関係で理事に就任している社会福祉法人の理事会があった。介護保険料の支給基準の変化で,収入は激減している。それでも予算を合わせるためには人件費と食費ぐらいしかない。そのことは介護される人の介護の質に直ちに反映されることになる。豊かな老後を自分の意思で選択できると言う状況にはほど遠い実態がある。私もこうした切り捨てられていく年代になってきた。

今日の日曜の午後、火曜日の講義の準備をしていた。できあがったレジュメは以下のとおりである。今回は多重債務者問題をとりあげる。この作業をやっている途中に柚木議員が参議院対策会議をおえたばかりだと言われて寄られた。

第1判例(平成18年1月13日最高裁判決)の検討
1,どんな事例か。事実関係は
2,上告人はどんな主張をしていたか
3,何が判断されたか
4,利息制限法、貸金業法(旧貸金業の規制等に関する法律)との関係、「みなし弁済」(旧貸金業法43条1項)
5,期限の利益喪失約款と任意性
6,この判決の影響〜過払い金返還訴訟の増加
  波紋を呼ぶ平成19年2月13日最高裁判決

第2被害の実態
1,5社以上の消費者金融から融資を受けている人多重債務者は、約230万人。4社以上から借金をしている人の3割以上は返済が滞っている(2006/7/22読売新聞ニュース)。
2,1990年の自己破産宣告の申立件数は11,273件、2003年242,357件の申立でピークを迎え、2005年は184,324件に減少してきている。

3,自殺(2005年は自殺者32,552人のうち、経済的理由とする者は7,756名)、夜逃げ、ホームレス、請求から逃れるために住民票のない生活を続ける。医療が受けられないなどの相談。生活保護の厳しい運用。生活の破綻。

4,消費者金融大手5社(武富士、アコム、アイフル、プロミス、三洋信販)の2006年3月末決算によると消費者向け無担保貸付の貸付金残高合計は6兆3704億円その営業収益は1兆5071億円、経常利益合計は3904億円となってい減少傾向ではあるが高水準である。

5,弁護士会の対応
  月曜日から金曜日までクレサラ相談、無料。

第3多重債務問題の背景

1,消費者金融の反映を支えているもの
高金利、過剰融資、過酷な取り立て
テレビコマーシャル、駅前の一等地はサラ金で占められている。

2,法による規制
貸金業法(1983年)2006年改正
  登録制
  取り立ての規制
  過剰与信の抑制(1業者50万円以内、年収の1割を限度〜金融庁ガイドライン)
  貸金業法(改正前)43条の「みなし弁済」の規定

利息制限法
  最判S39.11.18
    制限利率は強行法規であり、これを超える利息債務は無効であって、超過利息を    任意に支払っても支払金は利息に充当せず、残存元金に充当する
  最判S43.11.13
    制限利息超過分の元本充当により計算上元本が完済となった後に債務者が支払っ    た金額は不当利得であり。これを過払い請求として請求できる(利息制限法1条    2項の空文化)

出資法
   出資法の上限金利を超えれば刑事罰

      図

3,新貸金業法(2006年12月13日改正)の成果と課題
概ね3年を目処にみなし弁済規定を廃止し、出資法の上限金利を年29,2パーセントから年20パーセントに引き下げ、この上限金利と利息制限法の金利との間の金利との間の金利での貸付の禁止。取り立て規制、不正・著しく不当な行為の禁止、指定信用機関のインフラ整備など
格差、貧困問題の対応、公的支援制度の拡充

4,みなし弁済をめぐる判例
   最判平2。1.22
    利息制限法を知らず、超過利息を違法無効との認識なく支払った場合でも「自己    の自由な意思による支払い」であれば任意の支払いである。 
   最判平16.2.20
    厳格な要件を充足する必要
     ?登録業者であること
     ?業者の業として行う貸付であること
     ?利息もしくは損害金として任意に支払うものであること
     ?17条書面の完備
     ?18条書面の完備 
    最判平18.1.13、最判18.1.19
     期限喪失特約は債務者に有効であるとの誤解を与えて支払いを事実上強制する     ことになるので特段の事情のない限り任意に支払ったとはいえない。
     
     事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払いをしたとき     は自己の自由な意思によって支払ったとは言えない。
   最判平成19年2月13日判決の問題点

第4多重債務者の救済の実態
1,正確な債務額の把握
  取引履歴の開示義務(平成17年7月19日判決)
  利息制限法による引き直し計算
      時効、系列が複数ある場合の充当問題

2,手続の選択
     任意整理の可能性
     破産宣告の申立の利用
        当初は司法的解決の宣言によって事実上の取り立てを自粛させる。
        破産宣告の申立、同時廃止手続、、、、免責による再出発のチャンス
     民事再生事件も一定の役割
     特定調停手続
     

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