まさかのことはまさかに起こる

2007年6月5日

今日は法廷の予定が珍しくなかった。一日相談ばかりの予定であった。そのうち朝から自宅にかかってきた相談を含めれば4件の交通事故に関する相談であった。「事故」は事故だから思わぬところで遭遇する。

朝かかってきた電話での相談は昨日の日曜日の午後から何回も同じ人からの相談である。自転車同士の衝突で相手が転び軽く頭にけがをしたそうであるが,どうしたらいいかとの相談である。まず自転車同士だからということでこれは交通事故ではないという誤った認識がある。加害者と被害者の関係だと考えなければならないことを説明したがなかなか理解してもらえない。相手にも過失があると思うが,その場合でも自分に責任があるのだろうかという質問が続く。被害者の方にはまずは丁寧に対応すべきであることを伝えると,見舞いに行った方がいいかとか,何を持って行ったらいいかとか,今日行くべきかどうかなどと時間をおきながら何度も電話をしてくる。そして今朝は見舞いは受け取らないがどうしたらいいのかという相談である。法律的な問題ではなく,社会的常識人としての行動をとることがまずは大切というがどれだけ理解されたかわからない。事務所にでかけるので事務所に電話をくださいといってからは連絡がこなくなった。

酒気帯び運転でぶつかってきながら,決して非を認めようとしない事故の被害者の方からの相談が2番目である。自分が被害者であると言い張っている。双方の保険会社自体が加害者の言い分はおかしいと言っている事案である。どこか狂っている行動形態である。3番目はやはりこちらが自転車で渋滞して停車している車両にぶつかってしまった。ドアに少しへこみができた。10年以上新車登録してから年数が経過している。修理代を40万とか60万円支払えと言われている。法外な要求ではないかとの相談であった。相手の弱みにつけ込みどんどん被害金額を増額してくる人の厚かましさがまかり通ってはならない。今後の交渉の委任を受けた。

4番目の交通事故の相談はまさに「まさかのことはまさかにおこる」厳しい事故であった。自営業者であるため営業用にいくつかの車を持っていた。どの車両も同じ代理店を通じて契約をしていた。どの保険も保険金額は無制限に加入していた。中古車両を購入した相談者はいつものとおり保険代理店に加入の連絡をし,指示のあった車検証の写しを代理店に持ち込んだ。それで相談者はいつものとおりきちんと代理店が処理してくれると思っていた。しかし,いつまでたっても連絡がないことに不安を感じて再度連絡をしたが,手続きが未了であったので,直ちに完了しておいて欲しい旨連絡をいれた。その車両で事故を起こしたのはそれから二日目のことであった。警察の調べに置いても保険には入っていますと答えていた。しかし,実は保険にはいっていなかったのである。代理店が未だ手続きを放置していたのである。その事故は二人が死亡するという痛ましい事故であり,相談者にはとうてい賠償する能力はない。これから始まる刑事事件の対応が非常に難しい。率直に代理店の責任を問いたくなる事案である。

そのほか相続の問題,養育費の問題をめぐる法律相談があった。また,家屋の立ち退き交渉が継続していたが,やっと借家人の了解をえることができた。示談書を交わすことができた。こうして,日々の処理をしているうち7時30分頃になり,帰ることにした。自宅に帰ってテレビで映画「レ・ミゼラブル」を見た。小さいころ教会でこの紙芝居を見たのがこの物語への接触の始まりであった。下水道を逃げ回る絵,燭台を盗むところの絵はいつまでも思い出すことのできるほど印象的であった。

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