会って話すことの大切さ

2007年6月12日

交通事故加害者の相談を受けていた。たいした事故ではないが,相手方の車両に自転車をぶつけてへこみなどの破損を生じさせていた。100パーセント当方が悪い事案で,本人もそのことはわかっている。しかし,かなりの法外だと思われる修理費の請求があった。その請求のしかたも手慣れたやり方でやってくる。そんなことから交渉の依頼を受けた。

当方が事件の依頼を受けたことを知るや直ちに電話で,いつ修理するのかなどと言ってきた。当方の基本的な考え方は既に文書で送付しているのでそのことを検討してそれから考えを知らせてもらいたいと言っても電話をきろうとせず,興奮して怒鳴ってくる。他の方の相談を日曜日に受けることになっていたので,その時間帯であれば事務所にいるから電話をしてもらってもいいと最後に伝えていた。そのことは,了解したようであった。そして日曜日の相談中に電話があったが,今すぐ車を修理せよとか,法外な請求となっていることを無視した一方的な話なので,私も大声をあげて当方の見解を述べ,切ろうとしない電話を一方的に切った。それを聞いていた相談者は,相談中であったにもかかわらず,私が興奮して交渉しているのが怖かったのか,相談をいれていたその人もそこそこに「どうもありがとうございました」と帰られた。先の電話の主は,被害を言うには私に対してしかもっていくことができないので,私が聞いてあげなければ問題が解決しないと考え,先ほどの電話の主に電話を入れて今日の7時に事務所で会うことにした。

どんな人がくるのか,いろいろなことを想定して頭のなかで対応を考えていた。相手が興奮して暴力を振るうとか,ナイフでもだすようなことがあればすぐにセキュリティの緊急ボタンを押そうとその位置も確認していた。しかし,交渉に表れた人は,「普通の人」であった。普通に話ができた。被害者にありがちなこだわりはあるが,これは当然である。これからの当方の示談提示の方法を述べ一応納得してもらった。但し,損害額の算定方法を了解してもらったわけではないので,まだ交渉は続く。

会わないで話をするのと,会って話をするのとではずいぶんと違う。相手も当方のイメージを電話の先で抱きながら話すのと,互いに姿を見て,相手の呼吸を感じながら話すのとではかなり違ったのであろうか。メールでやりとりをすることの多い世の中。電話よりももっと相手が見えにくい.。メールは互いを理解することが非常に難しい伝達手段ではなかろうか。「話せばわかる」そんな雰囲気で交渉をすることができた。

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