パンひとつの盗みから

2007年6月19日

昨日の当番弁護士で出動依頼のあった人に昼休みの時間接見に行ってきた。接見場所は県警本部留置場で新しくできた規模の大きい施設である。ここで警察官が調べをし,留置しておく警察の施設ということで代用監獄には違いない。完成したときに内部の見学をしていたのでだいたいの様子はわかっていたが,やはり,窓のないコンクリートの部屋での生活は気分がそれだけでめいってしまうであろう。

接見した被疑者はまさにパン一つの窃盗であった。時価にして50数円のものである。深夜のコンビニでパンを盗んだというのである。生年月日を確認したが,10歳は老けて見える。無職で生活保護を受けているという。同じような罪で執行猶予判決の経験があるようだ。子どももいるという。パン一つの犯罪である。しかし,その犯罪の背景には解決されなければならない複雑な事実が見え隠れする。パン一つの犯罪である。しかし,そこからさらに墜ちて行く結果になるのか,更正のバネとなっていくのか。それには社会の理解と関与が必要な場面であると思われた。「ああ無情」の映画を最近観たのでどうも「パン一つの犯罪」が気になった。

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