奇しき縁の相談者

2006年11月15日

年は18才の娘さん、就職をめぐってトラブルが生じていきなり社会の荒波にさらされた相談であった。

昭和62年ごろのことである。海外先物取引被害被害にあった老女の相談を受け、業者と交渉していた。事案は海外先物取引を装った詐欺である。海外先物自体がそもそもあやしい取引であったが本件の場合はその実態がなく詐欺そのものと交渉の時点で確信した。会社に乗り込み直接交渉をした。相手はまだ若い女性であったが、激しい言葉をあびせてくる。妊娠をしているらしく思われる体型で下腹が少し膨れている状況であった。交渉は進展せず新しくできた海外先物規制法に基づいて刑事告訴をしていた。そしてこの新しい法律を適用して岡山県警が全国の先陣を切って逮捕した。根っからの詐欺師ではないかと思われる位に最後まで反省することはなく自分の論理を通していた。この逮捕から勾留、服役の間に一人の子どもを出産した。その後も時に私の所に何度か脅迫じみた手紙をよこしたことがある、rnrnそして、この事件を忘れようとしたころ、この被告人の両親から経済的問題で相談を受けた。娘であるその被告人とは事件以来、絶縁状態が続いているとのことであり、出産した孫を育てているとのことであった。娘を告訴した弁護士のところへの相談である。私は、相談を聞いているうちにそのことに気がついたのだが、相談者はそのことを知った上での相談だった。そして、その孫が素直に育っていることがうれしいと話していた。この事件も一応の解決を得た。その家族にやっと平穏が戻ったと感じた。

今日の相談は、それから数年後のことである。被告人が昭和63年ごろの身柄拘束の状態で出産した子どもは祖父母のところですくすくと育った。決して恵まれているとはいえない環境のなかで、おばあちゃんにだけは心配をかけたくないと進学をあきらめて働き始めたばかりの出来事の処理の相談であった。奇しき縁の相談者であった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2024年7月
    « 5月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031