原爆ドームをアメリカと共同で保存?

2007年7月8日

昨年末,ドレスデンを訪れた。世界最大のジグソーパズルとも言われた修復が完成しばかりのフラウエン教会にもでかけた。その時の感動はこのブログでも書いた。1945年2月,無差別爆撃で完膚無きまでに爆撃され,3万人以上が死亡したとされた事件である。このことが,最近突然話題とされることがあり,こんどは苦々しくその話題となったことを聞いた。

 7月1日に行われた安倍晋三首相と小沢一郎民主党との党首討論会で、小沢氏が「米国は(第2次世界大戦の)ドレスデン無差別爆撃について謝罪している」と指摘し、原爆投下について米国に謝罪を求めない日本政府の姿勢を追及したが、この問題で政府・与党側が事実関係が間違っているとして強く反発しているようである。つまり小沢発言は事実に反し,ドイツは米英に謝罪を求めていないし、米英はドイツに謝罪していない。小沢氏は歴史をねじ曲げ、政局に利用しようとした」と自民党側は反論をしたのである。
 確かに, 英国空軍が中心となってなされたレスデン爆撃では市民ら約3万5000人が犠牲になり、「米国はドイツに公式謝罪などしていない」のかもしれないが,フラウエン教会は英国や米国の市民ら平和を望む多くの国の市民の人々の募金によって修復されたものである。そして,その塔の上に輝く黄金の十字架は直接の加害者であった英国空軍関係者の人々の寄付によって作られたものである。市民レベルでこの爆撃の非人道的な行為の反省と償いがなされたのである。正式に謝罪があったかなかったなどと論戦しているレベルではないのである。日本で言えば,原爆ドームの保存を米国と協力しあって保存をしていくような出来事である。こんなことを考えることもなく政局の道具としてしかこのフラウエン教会の奇跡を論じられない外交では,日本の平和はほんとうに危険にさらされているといわなければならない。

この復興したドレスデンの街を舞台にした映画が日本でも封切りされ,岡山でもまもなく上映されるようだ。あの街の思い出をもう一度思い起こすため,是非とも観に行きたいと思っている。

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