それでも死刑でいいのだろうか

2007年7月10日

今日は,日頃親しくしている弁護士仲間が還暦の祝いの会をしてもらった。もう30年以上続いている10名ぐらいのグループなのであるが,そのうち最後の還暦の祝いとなる3名の祝いの会である。私も祝ってもらえるその一人であった。私には記念として万年筆がプレゼントされた。他の2名は夫婦2人で旅行でもどうぞと旅行券,趣味の水墨画に使う硯と趣向を凝らしてのプレゼントである。

この仲間は,それぞれ思想信条は異なるが,日頃の弁護士活動に関して互いに言いたいことを言い合ってきた仲間である。この仲間の一人に光市の差し戻し控訴審の弁護団の顧問をしている弁護士がいる。今の弁護団の置かれている状況,日弁連の対応,被告人の状況などについて報告があった。岡山弁護士会でも,最近の弁護団に対する脅迫などに関して声明をあげるべく準備中であることの報告もあった。弁護士の職務が脅かされることなく職務が遂行できる環境が是非とも必要であり,私は今後ずっとこれらの弁護士会の動きを応援したいと思っている。

弁護団顧問の人の話によれば,この被告人はその生育環境の影響で精神年齢は低く,精神的発達障害があるようである。1審,2審は無期懲役であったので弁護士は事実関係については検察官の描いたストーリーを全く争うことをせず審理を進めたが,最高裁が事件として3年寝かしたあげくこれを覆したので,慎重に事実関係について検証し,主張をしてきているようである。実際の供述調書の内容には,荒唐無稽であると揶揄されている主張を裏付けられる内容が随所に残されているとのことである。そんなことから今の裁判所での主張は決して無理に弁護団がつくりあげたものではなく,当時の精神鑑定,具体的な供述内容に基礎をおくもののようである。そうであるとすれば,本件においてもやはり誤判の怖れはあるようであり,死刑は回避されなくてはならないと思われる。また,この弁護士の話でもあるのだが,捜査(取り調べ)の状況がつぶさに録画されていれば,真実はどこにあるか後日検証しやすくなるはずということであり,これは早急に実現されるべきであると思う。先進国各国ではそれはほとんどの国において実現されている。裁判員制度が始まる中,日本での早期の実現が必要とされる。

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