哀しい話,次々と

2007年7月21日

昨日は,午後1時30分から午後5時30分までの証人尋問があった。かつての行政マンたちがその職責を果たしてきていたことの可否を問われている事件だった。億の単位の請求であり,この請求が認めらるようなことがあれば,とうてい支払える金額ではなく,破産必至の事案である。誰かにミスがあったといえるのだろうか,誰かに悪意があったのだろうか,数十年前からの取り扱いが審議の対象となっている。

この事件を終えて事務所に帰るとコンビニ経営者の債務整理の相談であった。破産をすればコンビニのフランチャイズ契約は当然解除される,解除されれば今後の収入の道を断たれる,保証人となった子供ら家族も破産せざるを得なくなる,民事再生でも基本的には同じ運命となるのが基本であるがなんとか継続を検討するとはいっているが,これとても超えなければならないハードルがいろいろとある。負債と収入のバランスからみればとっくに破産であると評価できる。しかし,今後の生きる糧を取得する方法にかけてその決断ができない。法的な問題点を指摘した上で,今後の選択を任せた。ゼロからのスタートがベスト方針であるというもっとも選択したくないといっていることを伝えて。

そして,今日の朝一番は大阪地方裁判所で離婚成立後の慰謝料請求事件であった。離婚が成立して既に2年間は経過している。夫のもとに子どもを残している別れた妻からの突然の夫への慰謝料請求である。妻は既に新しい人との生活が始まっている。それにも関わらず,2年間も経過した後に別れた夫に慰謝料請求である。アルコール依存症となっていると言いながら,法廷では酒は一滴も飲んでいないという。なにやら哀しい話ではないか。

大阪地裁から帰って,すぐさま岡山地裁倉敷支部へと向かう。交通事故で2人を死なせてしまった被告人の事件である。今日の期日は,被害者の遺族の意見陳述である。憎しみを精一杯被告人にぶつけてくる。2人の死は厳然とした事実である。泣きながらいろいろと陳述されても,被告人は何も言う術はない。反対尋問もどうしてもはばかられる。よしんば何らかの意見を言おうものであれば,おそらく検察官をはじめさらに被害者の怒りは大きくなるであろう。その怒りも怒りとして真実なのだからこれを論理的に整理することなど許されない。いつしか刑事裁判は,適正な事実審理で適正な刑罰を課する手続きから仕返しの場となりつつある。これも哀しい話である。

そして,事務所に帰れば,カルトにはいった娘さんに関する母親からの相談であった。この問題は実はカルトの問題ではなく,本質は親子関係の問題であるということが多い。じっくりと話を聞いているとやはりそのようである。まずは親子の人間関係回復の努力から始めなければならない。いろんな話をしていると相談者もそのことに気づいたようである。なんとなくわかってきたと少し笑顔をみせて帰っていった。少し救われた話ではあった。

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