新司法試験用六法

2007年7月25日

担当している岡山大学法科大学院の消費者法の期末試験であった。六法持ち込み可にしていたので,試験会場では大学側が試験用の六法を受験生に貸与するために準備していてくれた。

職業を聞かれて弁護士だというと,「すごいねあの六法を覚えてしまうのだから」などと言われることがよくある。弁護士になるために六法など覚える必要は全くない。極めて暗記力の乏しい私でも合格できたのである。試験では試験用の六法が貸与される。必要があればそれを参照すればいい。司法試験は法をどのように使って,問題解決をしていくのかその法的ものの考え方ができるか否かを判断する試験である。条文を暗記することなど全く必要ないのである。

私が司法試験を受験していたころ,いやつい最近まではその貸与され六法には憲法,民法,刑法などまさに六法ぐらいしか掲載されていないものを使用していた。試験対象の基本法だけしか掲載されていないものであった。しかし,法科大学院の卒業生を対象とする新司法試験用六法には多くの法律が掲載されていた。私にはそのことの認識がなかったので,設問の回答に必要な消費者契約法,割賦販売法の抜粋を準備して行ったがその必要性はなかった。考えてみれば法科大学院は,その授業の全過程のなかで,法曹としての基本的な能力を幅広く取得することが目的とされている。それ故,選択科目ではあるが消費者法などが設けられているのである。そうであれば,限られた試験科目用だけのものであった旧司法試験用六法とは違った広範囲な分野の法律が掲載されている必要がある。我々のころの試験用六法とずいぶんと内容が違っていたことに新しい法曹養成システムの神髄をかいま見た.

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