マンションブーム

2007年8月5日

岡山駅からのびる桃太郎大通りは両側にマンションがたくさん建ち並ぶマンション通りである。岡山程度の規模の街で中心部にどれほどのマンション需要があるのかと疑問があるが,結構売れているようである。マンションは鍵一つで他の住宅と遮蔽された独立の建物となり,隣近所のつきあいが不要である気軽さがあるなどという。私もマンション住まいが長かったのでその気軽さの反面,実はもっとも濃密な関係でなければならないと言うことも思い知らされもした。

今日,約300戸規模の大きなマンションの管理組合から依頼を受け,事件を受任することになった。マンションの住民は実はその大きな建物,それに付随する共用設備などを共有し,共同で管理しているのである。本当に自分の所有であると主張できるのは仕切られた空間だけなのかもしれない。全員が全体の物件の所有に関わり、運命共同体となっているのである。多くの住民のそれぞれが同じ思いをもって,この管理に当たらなければほんとうに良い管理は成り立たない。壁で仕切られながらも生活そのものを共有していた江戸の長屋の住民たち以上に緊密な関係であることを実は必要としている。きょう受任した事件も実はこうした意識をどこまで住民全体のものにしていけるか否かが結末の行方を握っているように思えた。マンション通りのマンションはどのような説明がなされ、購入される方々はどのような将来の生活設計を考えているのだろうかと考えさせられる。

夜は異業種の人たちの交流会にご案内いただきでてきた。同じテーブルで話題となったのは山口県光市の最高裁差し戻し判決についてであった。法律家は私だけであったので,なぜあのような弁護をするのか,その弁護のあり方についてどう思うかなど本質的な質問がなされた。多くの方が強い関心を持っていることが伺えたが,弁護人の刑事手続きにおける役割について少しは理解してもらえたのではないかと思う。さらに話は裁判員裁判のことに発展していき,裁判の現場での話を興味深く聞いていただいたようだった。司法が市民のものとなるチャンスである。えん罪を生まない市民参加の刑事司法への発展を願うものである。

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