1989年に来日したラルフネーダーがInformation is a currency of democracyと松江で開催された日弁連の人権大会のシンポジューム「消費者に武器を」でパネリストとして述べられた。この言葉は成熟した民主主義社会に情報公開の必要性を適格に表す言葉として当時情報公開制度のなかった日本において我々に鮮烈なものとして響いた。それから5年ぐらいして我が国にも情報公開制度ができた。日弁連もこの制度の創設については様々な運動を展開した。私も講師として消費者団体などで講演をしたことがあった。
そうして,獲得した権利ではあるが,私個人はこの情報公開制度を活用したことはいままでなかった。逆に県の情報公開に関する審議会の学識経験者ということで委員をしている程度の関わりしかもってこなかった。民主主義の通貨とまでいわれたこの情報公開制度がほとんど使われていない実体は,民主主義がまだまだ未熟なのかもしれないとも思われる。今日,このようなことを突然に書いたのは,事件の関係で国のある機関の情報公開の請求をしてみようと改めて法律を確認し,その手続きについて確認していて,当時の情報公開法の制定運動などを思い出し,条文の意味内容について議論のあったことが思い浮かべられたからだ。簡単に,誰でも情報公開請求はできるのである。もっと気楽にいろいろとやって,国の政策のあり方について考え,適切に選挙権を行使する材料にしたらいいのだと改めて認識した次第。今回が私にとって初めての請求になりそうだ。