厚生労働省のお役人だった人が,監督対象であった福祉法人の関係者から多額の利益供与を受けていたことが報道されている。受領していた役人は既に退職して退職金もたくさんもらっているが,厚生労働省にはもはやなんの処分権限もない。このニュースを聞いてなんとも言いようのない嫌な気分になった。送った側の社会福祉法人の理事長のなんとも言えない金銭感覚とその人が社会福祉法人を運営している責任者であたことが強い違和感を覚えさせる。もらった方ももらった方だが贈ったほうも贈ったほうだということだ。
億の単位の補助金を使って社会福祉法人を運営しているのである。その結果,豪勢な暮らしができるというのはおかしな話だ。現場では介護や看護のために大変な思いをしながら安い給料で働いている人がいるはずである。社会福祉法人がそんな儲かってはいけない。今回の事件は,もらった人の問題がいろいろと言われているが,社旗福祉法人を運営している人が儲かっている事実にも目を向けるべきであると思う。
医者,弁護士というと昔は金持ちだというイメージが社会的にあった。医者は確かに裕福かもしれない。医療保険制度が充実していて,医療費は確実に回収できるシステムがあるが弁護士にはそのような保険は原則的にない。弁護士の場合,社会的,経済的弱者の方の事件を受任すれば,結果的に全くボランティアとなることもあったり,せいぜい実費程度しか確保できないことも珍しくはない。そんな意味では弁護士は儲かってはいけない仕事なのかもしれない。弁護士の職務は「人権を擁護し,社会的正義の実現」であると法に定められている。もともと儲かる仕事ではないのである。それでも儲かってあの社会福祉法人の理事長のように裕福であるとすれば,その人の仕事がおかしいのだと思う。私も儲かって裕福であるという生活ではないと思う。そこそこの生活をしてきているとは思うが,その感覚を忘れることのないようでありたいと思っている。
ついでに政治家も本来儲かってはならない仕事のはずである。儲かるはずのない仕事のはずであるが,世間はそれなりに儲かっているはずであるとの印象をもっている。にも関わらず,ここのところ政治家と金の問題が連日問題とされているのはどういうことなのだろうか。新内閣発足後も相変わらず問題が発覚している。