橋下弁護士に損害賠償請求

2007年9月4日

テレビ番組のコメンテーターとしてよくでている橋下弁護士に対して広島の弁護士らが業務妨害だとして損害賠償請求訴訟を起こした。

橋下弁護士は,あるテレビ番組で,光市母子殺人事件の弁護団に対して,弁護士会に懲戒請求をしようと呼びかけ,そのフォーマットまで示したというのである。この後,広島弁護士会,日弁連などにはこの弁護団のメンバーに関してたくさんの懲戒請求がなされた。既に新聞報道もなされているが,日弁連には銃弾入りの警告書が届けられるまでになっている。弁護士の弁護方針にいろいろの意見があっていい。しかし,弁護活動が弁護方針に反対であるからといってその活動を妨害することがあってはならない。最高裁の差し戻し審においてはあらたな精神医学者の鑑定意見もだされている。今まで見過ごされてきていた新しい事実もでてきている。何がなんでも死刑にしなければならないという扇情的世論は冷静に見つめ直すことが必要だろう。

死刑が今の憲法下では認められないという解釈で弁護されることは当然許される。権力や世論に左右されないで独立した弁護活動が確立していなければ司法の独立は保障されないことになる。死刑制度が残っている先進国はもはやアメリカと日本だけである。そのアメリカも相次ぐ死刑判決の誤判が続き,死刑制度の存否について議論が起きている。日本も考えなければならないときにきているのである。

弁護士でない普通の人が,この弁護団の弁護方針に関して意見を述べるのは自由であり,そのような意見もありうることであろう。しかし,司法において弁護士の職務の独立が不可欠であるという基本的な認識の欠けた法曹がいることが,そしてそのような人がテレビ番組のコメンテーターとしてもてはやされる状況が恐ろしい。

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