今年の有斐閣法律講演会が標題のテーマで行われた。実はこの講演会を聴くために上京していたのである。166国会は労働法関連法案が6本もかかり「労働国会」と言われていた。ワーキングプア,格差社会,ワークライフ・バランス,ホワイトカラーエグゼプション問題などと日本の労働状況は大きな構造的な変化をしてきている。将来にどうしたビジョンを持つべきか展望が示されないまま我々法律実務家は,現場での紛争解決のために司法の場で具体的な解決を迫られていた。扱う弁護士の感性によって扱い方が大きく異なってくる可能性のある分野の紛争でもある。
しかし,「消えた年金」問題がクローズアップされ,雇用保険法の改正など3件の法案は成立したが,もっとも中心をなすべき労働契約法は今国会に継続審議となっている。国民の生活に大きな影響を及ぼす労働法の中核をなす法律である。十分な審議のもと是非とも早急に成立が望まれている。まだ,成立していない法律なのになぜ東京までこれを聴きにいったかというと,法律が新しく作られようとしていることは,そのことを必要としている事実(立法事実)が存在すること,そして法ができるということはその法によってあるべき社会の方向が示されることであって,現在の問題点と将来展望を同時に知ることができるのである。伝統ある有斐閣のこの法律講演会の内容は,おそらくジュリストに掲載されることになるだろう。本になって読めばいいとはいうものの,昨日の野球ではないが,ライブでみるというのはやはり伝わってくるものが違うと思うのである。これからの考え方を整理するために,わざわざ上京したが,歴史的?な阪神・巨人戦にも感動するという付録もついた。