ゆがめられた報道

2007年10月12日

元市長,前市長,歴代助役,歴代下水道局局長,財務局長らが20億円の支払いを求められて被告となっている民事事件(控訴事件)の尋問期日であった。私はこの元市長の代理人をしている。前回の期日の直後のテレビ朝日サンデープロジェクトで事件が取り上げられていた。ところが,全く事案の本質を違えて,報道意図に合致するように事実関係がゆがめられて報道されていた。

報道されたのは9月9日の日曜日である。阪神巨人戦が東京ドーム球場であり,忘れがたい名勝負の日であったので明確に覚えている。実は故あって,その日テレビ朝日本社ビルの1階で偶然テレビを見ていて,法廷の様子が放映されていたのでびっくりして見ていたため,その報道のでたらめさに気づいたのである。報道の内容は,元市長と官僚との癒着が政権交代によって新しい市長になったので,不正が暴かれ,地方において政権交代の意義が問われた事件であるとの構図でまとめられていた。そこで前市長が,苦笑いを浮かべながら既に自民党の国会議員になっている立場で「私の立場でいうのもあれですが,政権交代のいいところがでたのでしょう」と取材意図に迎合した発言をしている。元市長は利権と結びついた政治に対抗して当選した市長でいわば改革派市長として当選した。前市長は政権奪還とばかりに保守勢力から厚い支持を受けて当選し,利権政治と批判されるなか任期半ばで小泉チルドレンとして国会に転出した人であった。政権交代の意義を強調できる立場でないのは地元であれば明白に多くの市民が認識しているはずであった。それを,一方的にマスメディアがしかもある程度格式のある番組で事実をねじ曲げた意図的な報道をすることは犯罪的でさえある。勝手に番組意図に合うように事実を歪曲していたのである。

今日の期日で,前市長と元市長の双方に仕えた助役に対する尋問を担当した。前市長は元市長と闘って当選した直後,国の方式と岡山市の統計の出し方に違いがあったと元市長のあら探しをして,そのことが作為に基づくものであるとして国に対して20億円もの重加算金を簡単に支払ったために,市に多額の損害を与えたという事案であるが,そもそも重加算金を支払う必要のないもので,前市長が元市長を政治的に完全に追いやるためにしたものだとの観点から質問をした。調査もしないでさっさと20億もの支払いを決定した経過だけは明らかにすることができた。

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