法曹人口削減決議

2007年10月13日

今日は、広島で中国地方弁護士大会があった。そこで、法曹人口を削減することを求める決議がなされた。その理由とするところは、司法修習をおえて弁護士登録を希望する人たちの就職難となっていること、司法試験合格者の能力不足が問題となっていることである。

私は、この山口弁護士会提案の決議案に対して反対討論をした。司法改革のなか3000人の合格者を出して、社会のすみずみまで「法の支配」をゆきわたらす法化社会を実現することが目的とされた。そのための法科大学院が設置された。そうしたなかで、被疑者国選事件、裁判員制度への対応、司法過疎への対応、行政・会社などでの活動などまだ入り口部分にたっているだけで裁判官、検察官の増員などの問題は全く議論されていない。これらの需要に対応するにはまだまだ法曹人口はたらないのではないかと言われている。そうであれば、いま就職難の実態が生じているからといって直ちに法曹人口を減員するという結論に結びつかないはずである。司法にアクセスする市民の立場からの観点なくして、弁護士が食っていけないかもしれないという現在の不安感だけで、司法改革の成果を否定することは業界のエゴといわれても仕方がない。まずは十分に法曹人口がどうあるべきか検証するところから始まらなければならない。だからまず検証作業からはじめ、その後減員か否かの結論をだすべきだとの意見をの述べたのである。私は、かつて岡山弁護士会提案決議案に反対討論をし、決議までに至らなかったことがあり、今回は議論が盛り上がらなければ深追いはしないと考えていた。

審議の結果は、かろうじて過半数に達し、決議された。しかし、そのような結論に至ったことは悲しむべできごとである。弁護士会が業界の利権団体と揶揄されても仕方がないと思われる。当会を含め、いままで司法改革運動を進めてきた歴代執行部はどのような目でみていただろうか。既にやっと3000人で納めることできた当時の政治状況を知る者はほんの僅かとなっている。ブロック大会は特に法に要求されている組織ではない。そんなところでかつての政策変更するような決議が許されるのだろうか。そんな疑問をぶつけた。この決議が社会に対してさして問題とならないことを祈っている。

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