「知識人」

2007年10月16日

大阪で今年夏に消費者団体訴権を行使できる適格消費者団体として認可を受けたKC,s(ケーシーズ)のシンポジュームがあり,同団体の団体会員として登録している消費者ネット岡山の代表として参加してきた。消費者から信頼されて活発に活動できるようになるためにはまだまだ課題が多い。いかに必要な情報が消費者から寄せられるようになるか,寄せられた情報に基づいて公正な社会を実現するためにどのようにすればいいのか,活動資金は確保できるか,企業とのコラボレーションの必要性などさまざまな観点からの問題提起がなされていた。岡山でこうした団体を育てていくにはまだまだ力不足であることを痛感した。しかし,EUでは消費者から依頼を受けて集団的に訴訟ができる制度を加盟各国が5年以内に整備することが義務づけられたようであり,国際社会はこうした団体の必要性を指摘していて,いずれ日本でも公正な民主主義社会になくてはならない制度となっていくだろうと思われた。その先駆的な歩みを今はじめていると思えば力もはいるというものだ。

さて,往復の新幹線のなかで大江健三郎の「『新しい人』の方へ」を読んでいた。大江ゆかりさんのほのぼのとしたパステル画のカラーの挿絵がはいっている。そのなかで知識人について定義している部分が気になった。大江さんこそ世界の「知識人」であるはずであるが大江さんは夏目漱石のような人を「知識人」というとしている。そして,知識人とは「自分の生きている社会,世界のことを考えている人。同じように自分の意見を持っている,ほかの人を,理解することができる人」「やっている仕事を中心にして,自分の生き方に責任がとれる人」「今の現在の自分の生きている社会の,あまり遠くでない未来について,自分としての見通しを持っている人。持てなければそれを悲しんでいる人」と説明している。含蓄のある言葉である。この「知識人」大江健三郎さんの話に11月2日の人権大会で出会える。こうした「知識人」の思想のいったんに触れることができることが人生の大きな楽しみでもある。

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