エレベーター転落事故

2007年11月10日

広島にいる。全国先物取引被害研究会に参加している。予定では朝から初心者セミナー、ブラッシュアップセミナーそして午後からの研究会と200人ぐらいの弁護士が午後7時近くまで熱心に取り組まれていた。今回の講演には消費者被害を心理学的な面から分析するという意欲的なテーマもあり、本当に幅広く、深く被害の実態に取り組まれてきていることを実感した。このテーマではカルトからの救出に関するマインドコントロールの分析と共通していて、私にとっては理解はしやすい内容である。とは言うものの、私は4時近くまで岡山での証人尋問を抱えていて、現地に着いたのは5時を過ぎたころであった。それでもまだ2時間近くは研究会に参加できたことになる。このエネルギーには驚かされる。

岡山での証人尋問は、エレベーター転落事故をめぐる裁判であった。刑事事件から引き続いて担当している事件である。尋問の相手は死亡した被害者の妻であり、エレベーター管理業者の担当者であった。被害者の身体には全身に彫りものがあった。他の相被告代理人からの質問ではその被害者には前科があり、服役していたこともあったことが明らかにされた。飲食店でからまれ、エレベーターホールでいざこざを止めようとして振り払ったところエレベーターのドアにぶつかりそのまま8階から篭が停止していた1階に転落して死亡したという事案であった。被害者の妻であったのであまり厳しく尋問するのにははばかれる。さらにエレベーター保守管理業者は、いわゆる独立系の管理業者であり、メーカー系に比べると部品の調達、費用などで圧倒的に不利益な立場に立たされているゆがんだ業界にある。かつて裁判などでその不公正な業界の実態が明らかにされてもその実情はあまり改善されていない。そんな弱者を追求するのは嫌な気持ちではあったが、取り替えた部品が純正品ではなく、強度が不足していた。そのことが事故に繋がったのではないかとの観点から尋問をした。なかなか厳しい事件であると思っている。しかし、当方の依頼者はこの事件によって大きく人生を狂わされたと言って良い。複雑な思いのなかでのそれぞれへの尋問であった。

広島での研究会は明日の午前中いっぱいある。この熱心さにこの研究会からいつも元気をもらって帰るのである。

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