毎日の業務は,たいてい事前の予約,予定で決まる。特に裁判所の日程は,1ヶ月ほど前にはたいてい決まっている。しかし,当日にあわてて予約をいれてくる相談もある。病院のように命に別状があることはないはずである。しかし,本人にとってはその用務は一刻を争うと言う気持ちになっているときが多い。どうしても今日でなければならないと無理に予定をいれた相談ほど何事もないような相談であることが多い。
今日は,さるお方から是非相談に乗ってあげて欲しいとの依頼があり,夕刻の予定があいていた時に相談予約をいれた。相談内容は,もちろんここで書くわけにはいかないが,ある地方公共団体でおきている事件で,その概要はここのところ新聞報道がなされていたことであり,その事件背景は概略知っていた。刑事事件にも発展しかねない背景を持っている。当然にその具体的な内容について相談を受けることになった。本人はかなり動揺している様子であった。いろいろと疑心暗鬼になり,不正確な法律知識のまま周辺の噂に振り回されているようでもあった。よく知っている議員の名前,弁護士の名前が相談の際にも出てきていた。相談事案について正確な法律知識をお話したところ,かなりほっとされたようであった。これからも,この相談は継続されそうである。
このように,新聞報道などでまさに人ごととして把握していることが,突然に依頼事件となって現実に処理しなければならなくなる展開となることがある。映画をみていたのが,突然に映画の世界の中にはいっていくような感覚なのである。