交通事故

2007年12月7日

突然に起こってしまうどうしようもない不幸な出来事のことを「交通事故」などと表現することがある。しかし,現に起きている交通事故はそうした「交通事故」といってはすまされない悲惨な事故が多い。今朝は,飲酒でスピードオーバーの高校生の運転する車にはねられて死亡した人の両親が3度も検察審査会に不起訴処分が不当であると申し立ていた事件について報道されていた。「交通事故」ではなかったはずの実態をどうしても刑事手続きにおいて明確にして欲しいという願いで申し立てていたものだ。

農作業へと急ぐ軽四輪トラック,夫を亡くしたばかりで母子家庭となった母親がパートのコンビニ勤務へと急ぐ自転車,双方が住む近くの山間に広がる集落の農道で接触事故を起こしてしまった。自転車の母親は,常時介護を要する後遺症1級の高次機能障害で施設で暮らし,同人の妹が後見人となっている。加害者と被害者の距離があまりにも近く,その被害は悲しみの中,新しい生活を力強く踏み出したばかりの母子のうえにさらに衝撃的な変化をもたらした。この損害賠償請求事件を担当している。今日は高裁での2回目の審理であった。交通事故に至った原因については,被害者側の証言が得られる状況になく,特に新たに争点とするとは不可能である。今の争点は,将来の介護料をどのように評価すべきか法的評価の問題であり,加害者側は保険金を支払う保険会社が実質的な相手である。被害の程度を金銭的に評価していくだけの無機質な作業である。しかし,なかなか被害の実態が控訴審では理解されてないようである。原点に戻ってこの悲惨な実態を本人が自ら訴えることができないのであるから,代理人としてしっかりと訴えていかなければならなかっと本日の口頭弁論期日の反省している。今度の準備には介護の現場にでむいて,直接家族の方々から話を聞いて,主張をまとめるつもりである。

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