今回出版をして,著者としてサインを頼まれることがある。このサインにFor Consumer Justiceと書くことにした。実は,この言葉は1989年に松江で開催された人権大会のシンポージュームでパネリストで参加されたラルフ・ネーダー(アメリカのカリスマ的消費者運動家,車の製造物責任を定着させた)さんからいただいたサインとおこがましくも同じなのである。私の記念すべきものなので,あえて使用することにした。
実は,このことをなつかしく思い出すきっかけとなるメールを今日,いただいた。あの人権大会のシンポジュームの報告書を広く外部に対して訴えかける資料とするためにわかりやすい冊子に編集することになった。その時の編集委員として原稿を書いたり,整理したりする作業に関わり,「消費者に武器を」という書物にして発刊した。現在,国民生活センターの縮小案などが検討されているが,一方において消費者行政をばらばらな産業育成官庁である各省庁にまかせるのではなく,一元的に消費者庁を設置したらどうかとの動きもある。15年以上も前に発刊した「消費者に武器を」のなかで,これから取り組むべき消費者問題の課題として消費者庁の設置を柱の一つとして提言していたのである。ここにきて,あのときにあの本を書いたのは誰だとその情報を求めるメールをいただいたのである。内容的にはシンポジュームの内容を読み物的にまとめただけのものであるが,現在の新しい動きにその時の論議を生かそうというものらしい。
改めて,これからもFor Consumer Justiceの言葉に恥じない仕事への姿勢を持ち続けたいと思う。