気の重い事件

2007年12月17日

もう既に提出期限の到来している書面の完成と,事件の打ち合わせのために日曜日であったが,事務所にでて仕事をしていた。提出期限の来ている書面は,夜,家に持ち帰ってやっと完成させることができた。欠陥住宅をめぐる紛争であるが,その欠陥であることを理解することがそもそも難しい。それを裁判官にわかりやすくアピールすることはさらに困難である。電話会議で進められている事件であるが,写真の細かいところを文章で説明するというのはなかなかうまくいかないものだ。でも仕上がってみれば,なぜもっと早くにできなかっただろうかと,完了しない仕事を抱えて憂鬱な日々を過ごしていたことを悔やむ。

打ち合わせは,労働事件に関してであった。まだ,訴訟を提起してから数ヶ月ほどしか経過していないが,その背景問題には2年以上前から関わっている。やりきれない思いがする事件である。そもそもは労働組合の委員長に対する処分から問題がおきた。この事件を担当して会社と交渉している内に,職場を同じくする委員長の妻に対する処分があった。これらを仮処分というかたちで争っていた。そのうちに主要な組合員に対して解雇処分がなされようとするなどのことがあり,これも仮処分で争うことになった。そうした経過のなかで,順次,裁判所の強い和解勧告のなか,全員が職場復帰を成し遂げた。しかし,職場に復帰してからも組合員に対して解雇などの処分が繰り返されるようになり,あからさまに不当労働行為がなされ,解雇などによって組合員は激減していった。そしてついに組合は解散した。今回の依頼者は退職の意思表示をしたところ,懲戒解雇であると言われて退職金を不当に減額された。そこで,この解雇は不当であるとして満額の退職金を請求している事件である。

一人一人の権利を救済するために法的手続きをし,裁判所の関与のなかで全員職場復帰を果たした。しかし,その後の会社は,裁判所の関与がなくなったことをいいことに,不当労働行為のやりたい放題であった。その結果,多くの人々が解雇となった。組合は解散した。そんななか,ほそぼそと一人で,会社の不当性を裁判に訴えて事実を公にしようと頑張っている人の事件である。自分の尊厳をかけた争いでもある。長い間,会社側の人権無視のやり方に組合員といっしょに腹を立てながら頑張って成果をえてきていた事件であっただけにやりきれない思いがする。このような会社が,経営者が平然と仕事がやれる世の中がおかしい。もっともすでに相当経営状況はよくないらしいが,,,,。

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