和解成立か,暗雲,一転の光

2007年12月19日

午後から高松高裁での和解手続き。既に高裁で1年半ほど和解手続きを繰り返している。高裁で,証拠調べもせず,和解手続きばかり繰り返してなおも既済とならない事件は,担当裁判官にとっても長期未済事件として,悪い「評価」となっていると思われる。しかし,今日はやっと和解が成立する運びとなっていた。少なくともそう信じてでかけた。きらきらと瀬戸内海を太陽が照らしていて,冬であることを忘れさせられる瀬戸大橋線からの眺めであった。気持ちは春の遠足にでかけるぐらいの楽しい気分であった。瀬戸大橋線が坂出を通り過ぎるとき,最近おきた痛ましい殺人事件のことを思い出したが,電車の通過とともにそのこともすぐに忘れていた。幾分時間に余裕をもっていたので,千葉から来ている修習生と一緒にさぬきうどんを食べた。

和解の始まる前に依頼者と簡単に打ち合わせをした。ところがである。和解ができそうでないとんでもない条件がでてきたのである。和解を成立させるにはさらに数ヶ月の時間の猶予が必要であるとのことなのだ。やっと,関係者がそれぞれの立場で無理な調整を重ねながら合意に達したのも関わらず,さらに数ヶ月の時間的余裕が欲しいというのである。これには私もつい依頼者に対して言葉を荒げてしまった。裁判官にも相当な無理をお願いし,その裁判官は当方の依頼者が自分の父親と同じ年配であり,父をみるような気持ちにもなり,当方の依頼者の気持ちも良く理解できるといいながら,裁判官の立場で本当に粘り強く和解成立に向けて尽力していただいていた。もう裁判官にも無理はいえないだろうと思った。

そして,和解手続きにはいったときに,言いにくいことであったが,当方の事情で今日の和解は無理であること,もはや和解がご破算になっても仕方のないことを私の方から言ってしまった。しかし,裁判官は相手方にそれでも和解ができるかどうか聞いていただいた。すると相手方は「それはやむをえないのではないか。時期は待ちます」と言っていただいた。さらに裁判官は予想される転勤前までであれば和解を伸ばしてもいいと配慮してくれた。一番に粘らなければならない私が,一番にあきらめるような発言をし,相手方はしかしそれでも和解でいいと了承していただき,裁判官も最大限の協力をしてくれた。裁判官は,上からの「評価」よりも事件解決の当事者の利益を大切にしたのだ。毎月,この事件が内部で長期未済事件として,報告され続けていることを知っていただけに申し訳ない気持ちである。

暗雲立ちこめ,一転の光であった。解決は先にのびたが,全面解決に向けて光りを見ることができた。次回期日の時は,晴れて和解成立で祝杯を挙げて帰路につけるだろうとその時のことを思い浮かべながらおだやかに帰路につくことができた。

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