「清冽の炎」

2008年1月3日

年賀状に混じって,昨年末に投函されて送付された書籍をいただいた。送り主は,福岡の弁護士永尾さんからであった。書籍は神水理一郎著「清冽の炎ー1968 東大駒場」(花伝社)であった。誰でもすぐ分かることなので明らかにしておくが,神水(くわみず)氏は,実は永尾氏のペンネームのひとつである。

この本は,大学紛争の吹き荒れた1968年のころ,著者自身が体験した東大紛争を,著者のメモなどの当時の資料とその後の取材によってダイナミックに動いていた社会とその渦のなかで思索と行動をともにした仲間たちの生き様を描いた小説風ドキュメントである。今回はその4巻目の発刊となり,安田講堂事件のクライマックスが描かれている。私は,そのころ大学3年生で司法試験の受験を決意し,勉強をはじめたころであった。神田カルチェルタンの時は,大学の屋上で下から撃ち込まれる催涙弾をよけながら,「市街戦」を見ていた。1969年3月に東京の大雪が降ったときに初めて受験する司法試験の願書を法務省に提出するためにお茶の水から法務省に雪の積もった道を歩いてでかけた。この年,択一試験には合格したが,論文試験は不合格であった。

この同じ時間帯のとき,東大紛争の中の出来事が生き生きとそして細かく臨場感をもって描かれている。当時学生たちが何を考え,どんな思いで大学紛争の渦中にいたのか,自分のことのように胸に迫ってくる。神田カルチェラタンの市街戦では,ジュラルミンの盾をもった機動隊が指揮車とともにじわじわと学生のデモ隊に迫り,学生は石畳をはがして投げつける武器にし,火炎瓶が投げられていた。警備と取材のヘリコプターがぶるぶると音をたて飛びかっていた。機動隊に追われて逃げまどい,殴られて血を流して大学にはいってきた学生をゼミの部屋にかくまった。安田講堂占拠に加わっていた先輩が機動隊突入の前日,もうここからでると研究室に話にきた。そのまさにその時の安田講堂での出来事が描写されているのである。

そして,さらに第5巻へと続くことが予定されている。この事件に関わった人の現在までも描ききり,あの大学闘争とはなにであったのかの総括をしようとしている。懐かしくもあり,あの問題の周辺にいて,時代を共有した者として,その意味を再び問いかけられる思いがする。少なくとも時代の共有者である団塊の世代には必読の書としてお勧めしたい。

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