先物取引被害

2006年10月29日

秋田での研究会の感銘がなお残っている。50期代の弁護士(ちなみに私は26期)が次々と新しい事件に挑戦し、既に意義ある判決を獲得していることが研究会で報告されたからであった。次回は京都で来年3月に開催されるが、米が上場されようとしてこれに研究会として反対したことから、果たして現在の先物取引は本当に安定した価格形成に寄与しているのか否かという根本問題に真正面から若い弁護士が研究報告をする予定である。本当に意欲的な取り組みである。先物取引被害を扱うようになって25年ぐらいになるが、その当初に抱いた疑問の一つであった。最近の研究会では、被害者の過失相殺論に対抗すべく心理学的にアプローチを試みるなどユニークな取り組みが続いている。これらの研究は直ちに訴訟に提出できるものとはならないが、そうした分野において若い弁護士たちの創意工夫ある取り組みに感動である。この研究会の伝統ある「消費者弁護士」は健在であることを実感した。rnrn私の事務所も6件程度の先物取引被害の救済に関わる訴訟を担当している。私は3件を担当しているが、いずれも客観的にも、内容的にも明らかに顧客の損失において会社が利益を挙げていることが明かと思われる事案である。先物取引が安定した価格形成に寄与するというのであれば、その取引の内容を良く理解し、当該商品の価格変動要因についても充分な理解なくして注文執行がなされなければ公正な価格形成を阻害することになる。価格の経済的な意味を充分に理解した人たちのみの市場参加によって初めて正常な価格形成がなされるというべきである。私の依頼者の一人は退職者で、年金生活となった人に対して退職金を投入させた事案で、もう一つは妻への結婚記念日にと指輪を買う資金として有していた資金を投入させ、結局業者は億をを超える利益を得、依頼者は税金などの支払いなどでこれまた億を超える損害となっていると言う事案である。今回の研究会はこれらの訴訟を進めるうえで示唆の得られることが多く、改めて是非とも有利な内容で勝訴したいと思った。

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