「明石原人」

2008年1月22日

劇団民芸「明石原人」を観劇した。
物語は,明石原人の第1発見者が無学歴のアマチュア考古学者であったため,専門家には相手にされぬまま、苦労を重ね,その発見者の一途な化石に対する思いと歴史の狭間での生涯を演じたものであった。この化石現物は,第二次世界大戦中の1945年5月の東京空襲で焼失してしまった。化石現物から採取された石膏模型を東京帝国大学教授・長谷部が調査した結果、新種の原人であると主張した。さらに後に,現代人の化石ではないかとの意見も出たりしていまでも謎に包まれた発見である。我々が学んだころには教科書にも明石原人という記述があったが,今では記述はないのではないか。

学歴のない者が,学会で評価されにくいのは今でもそうであるし,歴史と伝統のある学会であるほどこうした傾向は顕著であり,あらゆる分野での学会でそうであるといえるのではないか。なにかと権威が一番の評価の対象となる。そして皇国史観は3000年以上も前の社会が形成された古代の存在を許さなかった。旧石器時代の存在など論じることができなかったのである。国家体制維持の道具立てに反する研究などできなかったのである。とてもおかしなことだとは思うが,今でもこうした国家の権威に反する研究が押さえられるということは良くある。天皇陵について,学術調査が長い間実現しなかったというのも皇国史観に反する資料がでてきてはまずいという配慮からであった。考古学が許されなかった時代がおかしいと思いながら,現代もなお同じような問題が身近に存在するということをわすれてはならず,それを見破ることのできる鋭敏な感覚を持ち続けていきたいものである。

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