格差

2008年1月25日

朝一番は岡山地裁津山支部での破産審尋であった。現地での打ち合わせもあったので,8時過ぎに自宅をでて,車で津山に向かった。雪がぱらついていたが,だんだん雪が激しくなり,車のライトをつけて慎重に運転した。雪は路面に降ってもすぐに溶けて積もる様子はなかった。津山市内にはいると対向車はフロント,屋根に雪をつけていた。おやっと思ううち,一面の雪景色となり,路面も白くなって積もっているのである。車も徐行しながら連なっていた。一時は,ノーマルタイヤだったので引き返そうかとも思ったが,車の通りの多い国道を通って,ようやく裁判所に着いた。そうしているうちに晴れてきて,太陽の光で明るくなり,みるみるうちに雪は溶けてきた。自然の力はほんとうに大きい。突然の雪で動けなくなり,車を放置して離れざるをえなくなった昨年のことが悪夢のように思いだされたが,今回は太陽のめぐみで事なきを得た。

今日の破産事件は,わずか数十万円の負債に関して,破産宣告をしなければならなかった事案である。数年前,この人の妻の破産宣告申立を担当した。当時から夫婦でサラ金などのかなりの負債を抱えていた。しかし,夫は今の自営の仕事を継続しながら支払いはきちんとしたいと強い意思をもっていて,妻だけ破産宣告をした。わずかの夫の事業収入と妻の勤務による収入で生活を支えてきていた。実は,夫は難病指定疾患で治療しながらの運転業務主体の事業であった。二人の収入があって,生活がやっとなりたっていたが,妻がついに病気で倒れ,緊急に入院することになった。体調の異変には,前から気づいていたが,治療する時間的にも経済的にも余裕がなかったのである。しかし,そのことによって夫婦の生活は成り立たなくなった。そこで,夫の今回の破産宣告の申立である。夫も難病と闘いながらの事業であるが,今後も唯一の収入源として働かなくてはならない。過払い金の回収などして,実質数十万円の負債ではあるが破産せざるをえないのである。裁判官からも指摘があったが,生活保護の受給者であればこれくらいの負債でも破産宣告というのは理解しやすいが,受給してなくて精一杯働き,収入がある中での破産宣告は,実態を良く理解しないとすぐには判断できない。今日の審尋手続きが終わったあと,この難病特有の仕草で車に乗り込む姿があり,哀しい思いで見送った。

難病に見舞われての夫の転職,妻が生活を支えるための勤務,生活苦による借金の増大,妻の破産宣告,妻の病気・入院・手術,収入の減少,夫の破産宣告と負の連鎖が続く。もがいても,その格差は開いていくばかりである。妻の病状は回復してきているとの話が唯一明るい話題であった。

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