司法書士と弁護士

2008年2月6日

今日の津山の事件は,簡裁事件であって,代理人には司法書士が就いている。つまり紛争の価格が140万円までの事件だったのである。簡易裁判所の民事事件については,この一連の司法改革のなかで司法書士が訴訟代理人として業務ができるようになった。

司法書士は従来,登記事務が業務の中心であった。この登記業務がコンピューター化されることによって,その業務の範囲が著しく狭まれてきて,業界の政治力を駆使してこの代理業務を手にした。司法書士の業務は,当事者の対立関係を基本的に想定しない業務でなりたってきた。弁護士の業務は,紛争解決という両当事者の対立関係を前提に成り立ってきた。その対立関係は,時には時の権力であることもある。そのため,司法の独立を担保する弁護士の自治があり,基本的人権の擁護と社会正義の実現がその職務とされ,その業務には高い倫理性を要求される。法律専門家としての一定水準を確保するためにレベルの高い試験に合格しなければならない。司法書士と弁護士は同じような分野の法律知識を持って仕事をするので,その業務の違いはあまりないと考えている人もいるが,このように基本的に異なっているのである。

この両者の業務の違いが,具体的事件によっては直接表面化しないで終わることもあり,そうしたことから,司法書士に弁護士と同じような業務ができる権限を与えるべきであると司法書士会からの政治的な動きが強まっている。今日の代理人の司法書士は,残念ながら法律知識に乏しく,紛争解決のための訴訟活動に障害があるとまで思わされた。対応のまずさに既に数回の期日を無駄にしている。このような事件で津山に何度も無駄なおつきあいででかけなければならないのはごめん蒙りたいと思った。明日は,日弁連での司法改革実施対策会議に出席する。テーマはこの他業種との関連問題について問題点が検討される予定である。

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