昨日は,日弁連の会議にでるために上京していた。徳島地裁の事件で相被告の事件を担当している東京の弁護士との打ち合わせの日程をこの会議の始まる前に入れていた。この弁護士の所属する事務所は,丸の内に新しく開発されてできたビルに入っていて,弁護士の数は約230名という巨大法律事務所である。230名といえば,最近急激に登録会員が増加した岡山弁護士会の登録数と同じぐらいである。岡山弁護士会がそのまま一つの法律事務所となっているといってよい規模なのである。日本の一等地に位置し,落ち着いた豪華さの漂う事務所であった。ホテルのチェックインをするような受付,通された打ち合わせの部屋にはコーヒーなどの飲み物がセルフで飲めるようになっている。まさに,ローファームという雰囲気であった。
私も,いよいよ明日から新事務所への移動作戦の始まりである。もう既にきょうは,事務所のなかは段ボール箱でいっぱいになってきている。手狭で,相談者のプライバシーを守って落ち着いて相談できる状況ではなかった。そのことが,常に気になっていたところであるが,少なくともそのことだけは今度は確保できる。東京の巨大事務所と比べるべくもないが,もっとも気になっていたことだけは解決できる。事務所がいかに巨大化しようと弁護士の仕事は,弁護士と依頼者との個別の信頼関係のなかで成り立っていくものだと思っている。しかし,こうした巨大法律事務所をみていると,法の見方も「欧米化」してくるのかと思わされた。
この事務所の隣のビルに大手の書店がはいっている。この書店にはいってみた。自分の本があるかどうか見てみたかったからである。たぶん,ここにはないだろうと思いながら法律書のコーナーにいくと目の高さの棚にちゃんと並べられていた。自分の本だからかもしれないがなんだか存在感をもって目についたことが嬉しかった。そして,昨夜は私の出版に関わっていただいた文藝春秋の方と「打ち上げ」をした。本当に丁寧なつくりに仕上がったし,買って頂いた方からも表紙のデザインをほめていただいたりした。なかなか売れる本ではないとは思うが,初めての出版ができたという達成感が気持ち良く酒を飲まさせた。そして,ホテルでバタンキューでブログも書かず,眠ってしまった次第。