グレーゾーン問題に決着か

2006年10月26日

今朝の新聞各紙は一様に「特例金利認めず」と金利問題に決着の方向が与党内で固まったとの報道がなされていた。まだ問題点は残されているが、大枠においてグレーゾーン廃止の内容であり、やっと正義が取り戻されるという気持ちになった。この問題は、まさに政治のありようが反映され、業界擁護の法を改正することがいかに大変なことであるかを示したものであると同時に、市民の意見を実現させるという民主主義の力も教えてくれるものであった。rnrn利息制限法は昭和29年に制定された。戦後の貧困さのなかから朝鮮戦争特需に湧いた直後のことであり、おそらく背景に高利で金を貸し、その取り立てに苦しむ多くの人が生まれたという社会現象があったのだと思われる。そして。ほぼ時を同じくして出資法が制定されて年109パーセント以上の利息の約束に関しては刑事罰が課されることなった。利息制限法以上の違法の利息をとっても刑事罰には罰せられない範囲が生まれたために、刑事罰にならなければ違法ではないと公言する業者が一般化し、高利の利息が大手を振って通用していた。昭和39年、昭和43年と最高裁は利息制限法を超える利息は違法であり、利息制限法を超えての支払分は元本に充当し、さらに元本消滅後に支払った金額の返還をもとめることができると判断した。刑事罰にあたらないから適法であるかのように振る舞う業者に対して明確に違法であることを宣言したのである。rnrnこうして、昭和53年ごろからサラ金渦と呼ばれる被害が多発し、暴力的な取り立てが当たり前のような事態となった。警察の取り締まりがなされ、弁護士らが被害救済に動き出し、一時的にこのサラ金被害は少なくなるかにみえたが昭和58年ごろにサラ金被害が2度目のピークを迎えることとなった。そして、貸し金業規制法ができ、貸し金業者に行政指導が可能となったが、出資法の金利を少し下げ、刑事罰の派生する範囲を狭めた上でその間の利息を一定の要件で業者が取得できるとした。ここにグレーゾーンが発生したのである。もともと違法であると最高裁が宣言した利息の取得を法で取得が可能とした。業界の強い働きかけでおかしな法律が成立したのである。rnrnその後のサラ金業界の無謀ぶり、被害の深刻さは論じるまでもない。年間20万人もの自己破産宣告を受け、経済的な理由で自殺する人が年間7000人もいる事態となったのである。高金利、厳しい取り立て、過剰融資はとどまるところを知らなかったといってよく、テレビにはサラ金コマーシャルがひんぱんに流されるようになった。この間、被害救済にあたった弁護士たちは利息制限法を超える金利の支払いが貸金業法の中で考えても違法であることを裁判所で明らかにしていこうと裁判所で争ってきた。そして、ついに今年の1月に貸金業法の要件を厳しくとらえ。原則として利息制限法を超える利息の取得は違法であると判断したのであった。これを受けて、政府は取り締まりの強化とグレーゾーンの廃止の方針をだしたが、業界を代表する議員らの抵抗は強く、特例金利を設けたり、長期の経過措置をもうけようとした。弁護士に対してはグレーゾーンがなくなれば、紛争がなくなり利益が上がらなくなりますよと言ってみたり、生活に困った貧困者の人たちはただちに困るようになりますよなどと意見を言った。弁護士はあるべき社会制度について提言しているのであって自己の当面の利益のために運動をしているのではない。また、生活困窮者の救済を高金利の業者に頼らせようとする政策の貧困さにはあきれた。こうした動きがあるなか、弁護士らが100万人署名活動をはじめ、日弁連、各地の単位会が声明を発表し、被害者の人々が組織され、各地で集会を企画し、日弁連として2000人規模の請願行動を起こすなど世論に訴えてきた。こうした世論の盛り上がりが背景があって今回の政府の決断であった。rnrnしかし、なお出資法と利息制限法とが完全に一致したわけではない。このわずかの隙間を残し、その隙間にどのような効力を与えようとしているのか、まだまだ予断を許さない。こうして法律ができあがり、この法律を改正しようとすると背景に大きな社会情勢の変動がみられることがわかる。しかし、ひとりひとりが非力ではあっても、あきらめずしっかりと行動していけば民意を反映していくことができいるという自信を与えてくれる「事件」であった。

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