さらに,重い一日と

2008年3月5日

朝一番には,夫婦の破産宣告事件に関する免責審尋であった。親から引き継いだ事業ではあったが,産業構造の変化についていけず,会社は倒産し,個人保証をしていたため,破産宣告となった。進学等を控えた子供がいて,それぞれの人生の選択に大きな影響をもたらしている。事件の処理としては最後の手続きである。これで終わりなのである。債務の取り立てにおびえる必要はなくなり,資金繰りの苦しさからも解放された。夫は,最初に相談にこられたときよりずいぶんと落ち着いた雰囲気となっていて,これからの出直しができつつあるのかと思わされる。一方,奥さんの方は,髪のみだれに生活の疲れを感じさせた。大切な時期を迎えている子供たちを抱えてのやりくりにおそらく苦労をしているのだろうと思う。審尋手続きを終え,免責決定が近くなされることを裁判官から聞いて,帰り際には二人揃って明るい表情を浮かべて帰っていった。

実は,この事件の始まる前から,午後4時から予定されている解雇無効を訴える労働仮処分事件の打ち合わせを事務所でしていて,提出書類の準備,書面の作成に追われていた。免責審尋が終わってお昼まで作業を続け,なんとか午前中に裁判所に提出を終えた。そして,午後一番は,仮処分申請なしの解雇無効を訴える労働事件であった。相手方代理人は,午後4時からの事件と同じである。実は,昨日の事件では相被告事件の代理人であり,ここのところよく出会う。東京などでは一度裁判所で対峙した代理人とは一生会うことがないと言われるが,岡山だとしょっちゅう出会うことになる。しかも,昨日は,利害は一致するが,本日の2件は相反する対立当事者事件である。

この事件を終えて事務所に帰り,さらに4時まで仮処分事件に提出する書類をぎりぎりまで起案を続け,提出した。この関連の事件は,何度もマスコミ報道されている事件であり,訴訟外の動きもいろいろとあり,緊迫した期日となった。一人の人生のかかっている事件である。神経を使う事件である。

夜は,所属している国際奉仕団体の例会にでかけた。毎回の事務例会において,メンバーの3分間スピーチが順次なされている。いつも明るく,他人をなごますどこに苦労があるのだろうかと思えるメンバーからのスピーチがはじまるや,声を突然詰まらせ,涙をだしながら話が続いた。とても大きな深刻な問題について話された。集まったメンバーのなかだからこそ,話せた内容だった。意外な人が,大きな問題を抱えて懸命に頑張っている事実に,皆が何もできない無力と問題の深刻さに「頑張って」という言葉しかかけられなかった。重い事実を知ってしまった。

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