4月1週

2008年4月4日

今週は,法廷に出かける回数が少ない。きょうは,一日中,事務所だけでの執務であった。もっとも,空いた時間に検察庁に行って国選事件で追起訴のあった事件に関して次回期日に検察官から提出される予定の記録をチェックにいってきた。裁判所も人事異動の時期であり,そのため引き継ぎの便宜などを考えて4月の1週にはあまり期日をいれないようにしているものと思われる。弁護士の立場でいえば特に4月だからといって特別な配慮をする必要はない。自分で,しっかりとけじめをつけていかなければこうした仕事上の季節感を感じることができない。

父は,ずっと町役場に勤務していた地方公務員であった。近くの役所に生涯勤務してきた(ほんの一時期県庁に勤務していたことはあったようだ)。転勤がなかったのである。新学期が始まると交番と住居が一緒になっていた警察官の子,駅の官舎に住んでいた駅員の子らが転勤の挨拶をクラスでしていた。なんとなくクラスで注目を浴びていて,私も父の転勤はないものかと思ったりした。そうして転勤で来た子とはいつも一番に友達になってように思う。どこか知らない地域から来た子らが私にとってはうらやましくもあり,珍しく感じていたのである。

裁判官,検察官には転勤がある。役所の世界では,転勤があるごとに「栄転」なのかどうか常に評価が伴ってくる。我々の間でも,転勤の裁判官に対して,「栄転だな」といってみたり,同じ期の人とその職務の差異を評価してみたりする。裁判官の場合,勤務地,その場所での職務などで微妙に地位の上下関係があるからだ。その裏にはその関係に応じた給与の差がその評価を支えているというシビアな世界である。裁判官であればいかに良い判決をするかどうかによって評価がなされるべきであると思うが,人事を担当する最高裁判所の考えは別のところにある。「それでもボクはやっていない」のなかでも,無罪をだす裁判官は出世しないなどという会話がなされている。そんななかで「良心のみに」したがって裁判をするというのはなかなか困難なことである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2024年7月
    « 5月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031