講義,裁判員裁判法廷,HIV

2008年4月16日

今日の午後は,今期最初のロースクールでの講義であった。履修者は,12人,そのうち7名が女性である。法曹を目指す女性の割合が増えていることの現れか,女性の数が目立つ。私が司法修習生の時は,50数名のクラスに3名の女性がいただけである。きょうは,第1講であるので「消費者法への誘い」と題して講義をした。現実に一人一人の顔を見ながら話をすると,自然と力がはいってくる。将来の法曹像を考えながらしっかりと学んで欲しいと心から思う。そして,合格して法曹となっていく彼らの人生に,少しでもこの消費者法を学んで良かったと思える時があったならとても嬉しいことである。

来年5月21日から,いよいよ裁判員裁判が始まる。この裁判員裁判が実施される法廷,裁判員の評議室,裁判員選任手続きの行われる部屋,その手続の間、待機する部屋などの見学会が裁判所の配慮でなされた。法廷の内部の壁の両側には,60インチの大きなモニターが設置され,裁判員,裁判官,弁護人,検察官の席,証言台にはモニターが設置されている。弁護人は自分のパソコンを持ち込むなどして,裁判員に分かりやすく弁論をビジュアルにしなければならない。証拠書類等の説明の為に必要であれば、直ちにモニターの映像はプリントアウトできるシステムになっていた。これからは,弁護士もこうした機器の操作になれてないと務まらない。当然と言えば当然であるが,自分のパソコンも持たないという弁護士はまだまだ結構いるが,こうした人は刑事弁護は遠慮しなければならなくなる。このような裁判でいいのだろうかとふと不安に感じてしまった見学会であった。この不安感は、単に新しいもに対する不安であって欲しい。

夜はワイズメンズクラブの例会であった。きょうは,いまや我がクラブでおそらく一番有名人であると思われる上村産婦人科医師のスピーチであった。高校生の間で、対応に悩んだ性の問題を誰に相談するかについてのあるアンケート調査によれば,1位は友人であり,2番目は上村先生と記載されていたようである。彼の携帯メールは、毎日かなりのものが舞い込んできている。その彼にHIVの今を語ってもらったのだ。HIVは極めてマイナーな疾病であり,いくら症状のきびしさを訴えても皆さんが人ごとのように考えるだけであり,啓蒙活動もHIVに限ってしまえばあまり効果はみられないことを言われていた。本当に伝えたい人には伝わらないそうだ。しっかりとその他の性感染症について話すことによってHIVは予防できることになるという持論のようである。そして,幼くして妊娠したりする人の家庭は,たとえば朝食を食べていないことが多いというデーターがあるそうだ。もちろん,朝ご飯が性感染症に効果があるというのではなく,朝ご飯をきちんと食べる習慣のある子供は、家庭もしっかりとしていて,家庭での教育に期待が持てることを訴えていたのである。この情報化社会のなかで,基本は子供との関係をどのようにもつのかである。しかし,子供たちと接するのは本当に難しい。親の思いとそれを受け取る子供の心の状況とは大きくかけ離れていることがしばしば存在する。子供にしっかりと愛情を注ぎ,子供の自主性を重んじながら指導していくということは、普通はなかなかできることではない。HIVの問題は結局は親子、家庭の問題なのだ。

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