労働委員会不当労働行為救済事件

2008年4月18日

ほぼ弁護士をはじめたころからのつきあいのある労働組合の労働委員会における不当労働行為救済事件の審尋手続きがあった。午後1時から午後5時過ぎまでの間に相手方証人3人の尋問であった。この手続きは,もともとこの労働組合が自ら申立手続きをしていたため,私は,尋問などの手続きになったときの要員として依頼を受けていた。今日は,最後の審尋手続きであった。

相手方の尋問なので反対尋問という立場であり,基本的にはあまり追求しても墓穴を掘ることが多い場合である。このような手続きにおいてさえ,堂々と労働組合員のことを「不良グループ」「ならず者」「いかに働かなくて,給料をとろうとする者」などと社長までが言い張る会社である。「組合員たちは掃除をしなければならない」などと発言をしていたことを全く悪いことだとは思っていない。よくもこんな会社が存続しているものだと思ってしまう。

静かに,反対尋問をすればそれで良かった。何も言わなくても墓穴を掘るような発言を繰り返している。聞いているだけで腹が立ってくる。おそらく黙って聞いていた当方の関係者は,歯ぎしりをしているだろうと思える内容であった。冷静さを失ったわけではないが,厳しく,激しく追求するということに変わっていった。代理人である私も許せなかったからである。法廷では,「意見にわたることですから尋問を変えてください」とか「繰り返しの質問ですからもう良いでしょう」と裁判官からたしなめられるような質問をしつこくし,自らの意見を主張し,回答はいらないがあなたの考えは間違っているなどと論戦をした。尋問としては失格かもしれない。しかし,こちらの当事者にとっては溜飲のさがる思いもあったのではないか。尋問の収穫としては,本当は得点の得られない反対尋問において,かなり会社側の理不尽な対応がなされてきたという事実関係,自らを正当化しようとしてどんどん矛盾した発言をしてきたことなどを明確にできたのではないかと思っている。審査員が私の反対尋問と同じ趣旨の質問をはっきりと補充質問をしていたからだ。

このような事件において,労働者側の正義を貫くというのは本当に厳しい。収入源を断ち切られたなかで戦いを続けていかなければならないからだ。この組合の多くの人が,悔しい思いをしながらも,そんなにしてまで争うという経済的事情が許さないのである。

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