訴訟事件数は急激な増加

2008年4月29日

こんなデーターに接した。

岡山地方裁判所管内の平成16年の民事・行政訴訟に新受事件数は1764件であり、平成17年はほぼ同じ件数であった。平成18年は2407件、平成19年は3193件と急増していて、平成16年の1、8倍になっている。最高裁によると、この増加傾向は平成20年になってもさらに加速化している状況が続いているとのことである。

消費者金融に対する過払い訴訟が、この事件数を増加させていることは間違いないかもしれないが、もはやそれのみでは説明つかない数字となっている。実感として、最近、訴訟が増加したとは特に感じることもなかった。法曹人口が増加し、いままで法的サービスが行き届かなかったところに、届くようになった効果というべきだろうか。また、別のデーターによれば、法律扶助協会から法テラスに発展したことによって、1、6倍の相談件数を扱うことになり、熊本では13倍の数ともなっているとのことである。こうしたことが、背景にあるのだろうか。事件数の増加は、司法改革のあまねく「法の支配」実現に向けての一つの具体的効果とみるべきだろうか。こうして急激な事件数の増加があっても、裁判所の陣容にほとんど変化がないことが気になるところである。岡山地裁では、民事担当裁判官が1名増加してはいる。

今日は、法律扶助の充実を目的に作られた法テラスの問題点について、関係者の報告を聞いた。扶助事件を、担当するのは弁護士の義務であると言いながらも、法テラスの組織となってからは、弁護士会との関係にぎくしゃくとしたものが生まれている。その問題点を、もう一度原点に戻ってきちんと検討する必要があるのではないのかという認識での今日の議論の展開であった。訴額が、低額ないわゆる少額訴訟に法テラスが対応できる状況になっていないことが判明し、各事務所での対応の体制が困難な事案であるだけに、これに対する制度的な対応が必要であると思われた。同時に法曹人口問題も、当然その養成課程である法科大学院との関わりで、多角的に再検討することは避けて通れない問題である。これらは、司法改革後の日弁連の新執行部が抱えている重要な課題の一つである。どこに解決策が見いだされるか、これからの日弁連が問われる課題である。

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