生きていくのに不器用な人々

2008年5月13日

法律事務所には,いろいろな問題が持ち込まれる。最初から「法律問題」として整理されくるわけではない。とりあえず,相談の内容を聞きながら,法律問題として,扱えるのかどうか,その問題を解決するのにはどのような手段を選ぶべきかの判断をして,解決に向けての手助けをする。たいていは,「法律問題」ではあるが,なかにはそうではない場合もある。しばしば架かってくる電話での相談では,カルト関わる問題もあり,その多くの問題は,夫婦の問題であったり,親子の問題であったり人生そのものの相談であったりする。法律問題であっても,実はその本質は,社会と適合できず,精神的に病みながら,解決の糸口が見つからないでいることもある。また,サラ金への過払い請求事件のように,本当は支払い義務はなく,悩むことなく暮らせたにも関わらず,多大な負債にあえぐようにして生活してきていた人もいる。ちょっとした知識,アドバイスがあれば豊かな生活を送れたのに,まるで正反対の人生を送ってきた人々である。

今日で4回目となる相続がらみの相談にこられた方がいる。いろいろとアドバイスをするが,いつも考えがまとまらない。慎重のようでいて,無駄なことを考え,問題解決から遠のいていくのである。そしてなかなか結論がだせない。背景に親族間の軋轢,これまでのなにか訳ありの出来事,そんなことが相談者を精神的に不安定にさせている。そのことを理解しながら,なんとか出口を見いだしてあげようとするのだが,そんな話に長時間つきあっているとこちらがいらだってくる。法律事務所には,生きていくのに不器用な人々が来られるのだから,生きる自信を与えてあげられる相談をと思いながら,こんな相談からは一時も早く解放されたいと思ってしまう。今日の相談者は,また後日相談にくると言って,結論が出せないまま帰って行った。

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