法が黙って守ってくれるわけではない

2008年5月16日

PIC000285.jpg昨日,産業廃棄物処分場の動きのある住民の方から相談を受けた。私は,「たたかう住民とともにゴミ問題の解決を目指す100人の弁護士の連絡会」通称ゴミ弁連に所属して,勉強会等に参加している。そんなことから,吉永町産廃問題に関し,業者が行政の不許可処分を争う訴訟に住民として訴訟参加の適否を最高裁まで争い,認められた画期的な判決にも立ち会うことができた。そんなことがきっかけで,廃棄物を埋め立て処分,焼却処分することなく,ゴミゼロエミッション政策を実行しているカナダ,ハリファックス州にも調査にでかけたりしたことがある。そんな経験をみての相談なのであろう。

住民の人たちは,施設の危険性はよく勉強されて理解されていた。産業廃棄物の設置が,取り返しのつかない環境破壊につながり,そのことが命の危険を及ぼす危険性を感じている。そのことを,議会,行政にきちんと伝えれば,危険なことを行政はするはずはなく,建設に許可を与えることはないであろうとの善意の信頼を持っている。だから,この危険性をどのように理解してもらうようにするか,その方法を知りたいという趣旨の相談であったように思う。しかし,業者が事前協議の実績をつくり,法に規定した水準の設備であれば,具体的に住民に危険があっても基本的には行政は不許可にすることはない。そう思って準備し,業者に対応していかなければならない。黙っていて権利は守られない。法律があるからといって,自然に権利が守られる訳ではない。安全な自然環境を守るということのためには,その地域の人々の団結,何がなんでも守り抜きたいという確信とそのためには考えられるあらゆる手段を視野にいれた活動がなければならない。この相談を受けている間,吉永町で住民,議会そして町も一体となって,産廃業者と戦い,夜行バスに乗って何度か厚労省への陳情にでかけたりした出来事を思いだしていた。

このような施設の候補地となるところは,たいていが自然豊かなところであり,産業もこれといってない地域であり,高齢者社会となってしまっている「弱い」地域である。今回相談を受けた地域も,既に業者から金銭を受領している人もいる。地域の団結としっかりと業者と対応していける人たちが生まれるだろうかと心配した。もっとも,弁護士としてはこうした事件を受けると,事務所経営的には本当に厳しい状況に晒されることになる。

昨日お知らせしたドラセナが咲き始めた。夕刻から部屋中,いや家の中いっぱいに甘い香りが漂っている。今年の花芽は,本当にでかい。

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