カルトとの戦いの系譜

2008年5月30日

かつて「岡山青春を返せ裁判を支える会」が同裁判終了後も「カルト被害を考える会」と名称を変え,活動している。裁判は終わってもカルトの被害は絶えることなく,むしろ広がっているという状況があったからだ。そのカルト被害を考える会などの主催で紀藤正樹弁護士による「カルトの現状と問題」と題して講演会が開催された。

彼の講演で統一協会の責任を認めた判決のまとめがなされていた。平成6年5月にだされた献金勧誘行為が不法行為となるという福岡地方裁判所判決に始まり,平成9年4月奈良地方裁判所による統一協会の献金勧誘システム自体が違法であるとの判決,平成11年12月16日の印鑑,大理石の壺などの物品販売が違法であると認めた福岡地方裁判所判決,そして私の担当した入信勧誘と献金の組織的違法行為を認め,慰謝料の支払いを認めた広島高裁岡山支部判決,さらにその論理を緻密に発展させた平成13年6月の札幌地方裁判所判決,その後に続く多数の判決が紹介された。私の担当した裁判だけでも提訴から勝訴判決を得るまでに10年以上の時間を要した。こうして判決の紹介を受けると,あの勝訴の判決を受けた時の身震いとそれに至るまでの数々の苦労を思い起こされた。こうして,確実に法的にはがんじがらめに統一協会の違法性は明確にされているにも関わらず,監督官庁からはなんらの手続きはなされていない。オウム真理教の反省が国家の施策としてみえてこない。

しかし,消費者省庁設置が具体化されてくる状況があり,霊感商法に対する雲行きに変化が見られることを感じる。統一協会の霊感商法に警察の捜査が既に数カ所実施されたのである。統一協会側も,そうした捜査当局に敏感に反応している。消費者センターを廻って被害申告が出ているかどうかを確認したり,あからさまな特商法違反とならないように注意を促したりしているようである。しかし,霊感商法の実態に変化がある訳でなく,全く違法行為に手を染めることなく,彼らの目論見を実行することは不可能である。

こうした,判例の積み重ねを獲得した弁連の活動実績は海外でも大きく評価され,反カルト研究会で表彰を受けることになった。これまた喜ばしいことである。しかし,いつ,どうやって,この霊感商法を撲滅sることができるのか,まだまだ,その課題は相当に重い。

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