最高裁違憲判決

2008年6月5日

最高裁が,父親が日本人で,未婚の外国籍の母親から生まれた子の日本国籍取得の可能性がない現在の国籍条項を違憲であると判断した。母親が日本人で父親が外国人の場合,未婚でも日本国籍を取得することはできる。それとの比較で,最高裁はこの区別には合理性がなく,違憲だと判断したのだ。

最高裁の違憲判断は,めったにでない。戦後の違憲判決は10数件程度しかない。最高裁の違憲判決を聞けるチャンスは滅多にないのである。最高裁には国会に対する違憲立法審査権があり,この制度は、憲法の最高法規性を確保し,法の支配を実現するための根幹の制度として位置づけられる。しかし,違憲とされた法律はほとんどないのである。この国の国会はそんなにも公正,無私の場所なのだろうか。最高裁は、国会・行政に追随する判断を繰り返してきたに過ぎないのではないだろうか。他国との比較をすればその違いは歴然としている。制度の似ているドイツとも比べてみればその差は明らかである。その意味では人権の砦としての最高裁の役割を今回は果たしたのかと評価できる。

しかし,今回の判決の報道を聞いていて,この判決の背景には、日本における外国人の一般的な地位,扱いに問題があるということに気づかされる。外国人も日本人もその地域に共に居住する住民の一人に違いないという意識があれば,今回の日本国籍を求めた子どもたちも日本国籍にさほど執着することはなかったであろう。日本国籍でなければ住みにくい日本の社会背景が存在する。今回の判決は,評価できるとしても,実はその背景にあるものを見つめることを忘れてはならない。

判決を受けた子どもの一人が日本国籍を取得して一番に何をしたいかとの問いに「日本人でしかできないことをしたい。警察官になること」と明確に応えていた。外国人が,現業でない公務員になることはまずはできない制度となっている。まして,権力作用の象徴ともいうべき,警察官にはなる道がないのである。こうした基本的な考え方そのものに合理性があるかいなか,今回の違憲判決とともに本当はきちんと検証して行く必要がある。国境を接した地域で,生活環境を共にして暮らして居るヨーロッパの人々にとっては,さして国籍など問題にすべきことではなくなっているはずである。

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