オイルショック

2008年6月9日

後期の東京での修習中であった昭和48年の暮れのこと,帰岡した際にタクシーの中に財布を落としたことがあった。その運転手さんとは「オイルショック」の職場での影響などについて話していた。財布を落としていたことでたまたまそのなかにあった名刺で裁判所に届けられたが,職場はまったくでたらめなことを話していた。そのでたらめさが,親切な運転手さんにばれてしまったのだから,なんとも罰の悪い思い出である。

「オイルショック」からは,いつもこの苦い思いが思い起こされる。ガソリンが急激な値上りの勢いが止まらず,オイルショックのことが頭をかすめた。さらに今週の法科大学院の講義では,「公正な取引」をテーマに考えていて,今日はオイルショックの時にヤミカルテルによってガソリンの値上げがなされ,その損害賠償請求事件について判例を調べていた。こうして,オイルショックのことが思い出され,罰の悪い思いでも出会うことになった。

今回のガソリンの値上げは,前の時とは様相がずいぶんと異なっている。前はヤミカルテルがなされて,高止まりとなった。今回は,グローバルなファンドマネーが飛び交い,価格をつり上げているようだ。需要と供給によって市場の力で価格が形成されるのではなく,アメリカを中心としたマネーゲームによって,価格が上昇しているのである。背後にはサブプライム問題があるようである。消費者の権利が確立されてきて,カルテルが容易にできる状況ではなくなっている。しかしファンドなどのマネーゲームは,世界規模で動いていて今回のように消費者の権利を侵害する結果となっている。我々が取り扱う分野においてもこうした金融商品に関わる相談も増えてきている。消費者が金融商品取引被害に合う危険度が高くなっているといえるのではないか。この対策が,立法面からも必要とされているように思える。

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