裁判員裁判模擬裁判

2008年6月17日

裁判員裁判の模擬裁判を傍聴した。今日は,2回目の公判前整理手続きであった。争点を整理し,立証計画を確認していく手続きであった。この手続きは,もちろん傍聴人はいないのであるから,法廷にはいって傍聴しているのは弁護士ら関係者のみである。

従来からあった,被害者の意見陳述,新しく制度ができた被害者の求刑や質問権をめぐっては,その行使の仕方などについて,検察官,弁護人,裁判官で意見調整がなされていた。なんとなく,この制度に幾分かのとまどいがあるように思われた。感情に押されて事実認定に影響があってはならない。被害者の意見陳述が,被告人を糺弾する場面となってはならない。それらは当然のことであるが,この2つの制度は,刑事裁判手続きをゆがめかねない危険をはらんでいる。三者がそれぞれの立場でそのことに配慮しなければならないという感覚で,意見交換と実施への配慮が見られた。そのやりとりを聴いていて,幾分安心をしたが,模擬裁判を担当しているのは,いわば「優等生」なので,現実にはどのようになっていくのか心配ではある。

次回は,いよいよ裁判員による審理手続きにはいる。裁判長は,予定されたそれぞれの証人尋問時間は厳守するように当事者に念を押していた。予定の5時までに終えることができないと,裁判員の信頼を損ね,裁判員から不満がでてきて,裁判員裁判制度そのものの存続が危ぶまれるとの考えからである。徒に予定時間をオーバーすることがあってはならない。しかし,証人という人に対する尋問である。証人の態度や,性格,あるいは記憶の不鮮明さなどで予定時間を思いがけなく延びてしまうことがあるかもしれない。そんなときに,やたらと時間のみを気にして,拙速な審理で真実発見がおろそかになるようになってはならない。いまでもやたらと時間を気にして,必要な尋問を遮る裁判官がいる。真剣な審理には,裁判員も苦痛ではあっても,真剣に取り組んでいく気持ちをもってもらいたい。一人の大切な人権に関わることだから。

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