直島

2008年6月22日

長男が仕事の関係で約2年間留学等のために米国へかけることになり,本人のお気に入りだったマンションを処分し,出発までの1週間ほどを自宅で過ごしている。彼が購入して2年間ほど住んでいた。それでも売却して利益がでたというのだから,東京の経済は,地方とは違う。1週間も我々夫婦以外の者と一緒に生活することはここ10年ぐらいなかったことだ。そんな特別の日が続いていて,それを理由に,今日午後から完全休日として,いっしょに直島にでかける。

直島といえば,いまでは美術館があり,アートをテーマにリゾートホテルが建っていて,最近では映画007シリーズの舞台にと話があるようである。しかし,この島の負の歴史も忘れてはならない。宇高連絡船に乗って穏やかな瀬戸内海の風景のなかに土の山肌を露わにして異様な島が目についていた。精錬所の煙害で植物が育たず,はげ山となっていたのだ。このようになったは普通の煙が出ていたわけではない。おそらくこの職場で働いていた人の中には,人体への影響を受けた人もたくさんいると思われる。

1998年からは,この島で豊島の50万トンにも及んだシュレッダーゴミ等を無害化するための焼却がなされている。当初の予定は10年かけて処分を終えるということであったが,処理施設の爆発事故の発生など,とうていその期間では処理は終わりそうにない。ダイオキシンの発生と闘いながらの処理である。大量消費,大量廃棄,大量焼却の循環はここでも続いていて,その後始末は完全にはできないのである。

こうした,歴史を忘れ去るがごとく,直島はいまや瀬戸内海の有数の景観に恵まれたアートとリゾートの街として甦っている。このことは,すばらしいことではある。しかし,忘れてはならない歴史もある。洞爺湖サミットも控えているが,直島はこうした現代社会のあり方も考えさせてくれる街でもなければならないと思っている。

きょうはあいにくの雨である。今はもうない宇高連絡船の発着港であった宇野港からフェリーで出かける予定である。もう,はげ山をみることもない。思いっきり,のんびりとした時間を過ごしてきたい。

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