代理出産と母子関係

2006年10月12日

夫婦間で対外受精した卵子を、他人の子宮に移植して出産した子どもの出生届が拒否されたことに関して、その夫婦が争い、東京家裁はその届け出を認めなかったが、東京高裁はこれを認める決定をだした。しかし、これは最高裁でさらに争われることになった。rnrn遺伝子的にはこの夫婦の子どもであることは間違いない。遺伝子的に間違いない夫婦の子の出生届を認めるか否かは、その出産の方法を法的に認めるか否かということにある。その方法が公序良俗に反するとの立場に立てば認められるし、否定的に考えればこれを認めないということになる。さらに法的に是認できない立場としても、現にこの世に生まれた子どもの幸せを考えると遺伝子的に夫婦の子どもであるということが間違いない以上、出生届を認めて戸籍への記載をすることにして救済するという論理も考えられる。私はこの夫婦が「子の幸せ考え結論を」と訴えている願いを法は受け入れるべきであると思う。この母親はガンで子宮を摘出しなけらばならなくなり、どうしても子どもが欲しかったことから、アメリカで代理出産をする道を選択したのである。このようなことができるのは経済的な裏付けのあることも条件となるが、こうして自らの子どもを得ることができたことを非難すべきではないと思う。rnrn民法の規定をみると子と母親とは特にその関係を定める規定はない。これは、従来「分娩」という事実で誰の目にも明かであり、分娩の事実そのものが争われることはめったにないので紛争になることは皆無に近い。一方、父親に関しては誰を父親と定めるかは一定のルールが定められ、その定められた結果についてもこれを争う方法が定められている。代理出産の場合はこの「分娩」の事実そのものが母子関係と一致しないことに問題が発生しているのである。こんなにまでして望まれてこの世に生まれた子が幸せに育つ環境を整えていくべきだと私は思うがどうであろうか。rnrn今日は、別居中の夫婦間の子どもに夫が会うことができるよう「面接交渉」を求める調停時件があった。離婚を双方が望みながらも具体的にはその手続きにはいっていかない。別居中の夫から子どもへの面接交渉を求め、これを一定のルールに従って実施していたところ、さらに夫との両親を交えての面接交渉に拡大するという内容で調停が成立となった。夫の子どもに対する愛情は非常に強い。面接交渉の時は外見からはは仲のいい家族関係にみられ、見知らぬ人からも声がかかったりするという。この夫婦にも望まれて生まれてきた子どもたちだ。こわれた関係のこの夫婦は、この子どもたちの幸せのためににどんな環境を整えてやれるだろうか。なかなかその結論は得られそうにない。

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