瀬戸内海,レインメーカー

2008年7月6日

つい,2週間前,瀬戸内海の美しい景色を直島から眺めていた。きょうは,瀬戸大橋を走る列車の窓から眺めた。帰りは日が西に傾き,太陽からの光線が見ている方に向かってくるように海面を帯のようにきらきらと反射し,行き交う航跡の波を際だたせていた。仕事から離れた時間の中でみる時とは違うが,美しいものはやはり美しく見える。

「ウインブルドン」の項目で最後に触れたバッジをはずしたその人からの紹介で始まった事件の最終段階の処理である。その彼は,レンダーネスライアビリティ(銀行の貸し手責任)などの問題に積極的に取り組んできていた。既にバッジをはずしていたのだが,過去の実績を知り,相談を彼のところに持ち込み,彼から私の所に持ち込まれた事件であった。訴訟手続きは既に和解で終了しているが,その後の必要な処理がまだ残っているのである。手続きが始まってもう4年ぐらいは経過している。いよいよ最後の契約のための最終調整に石鎚山の見える街に出かけたのである。当方の依頼者にとって,傷の大きい結果ではあるが,納得できる解決であり,関係者がそれぞれの立場を思いやりながら,弁護士任官の裁判官の主導のなかで和解に達した事件である。9月には一切の決済を終えて完全解決となる。そのことの最終確認であった。私に紹介した彼は,それから3ヶ月後ぐらいに命を断った。学生時代に60年安保闘争に参加し,卒業後は資本主義経済社会の中核を担う公正取引委員会に就職し,その後司法試験に合格し,独禁法等を消費者の立場で扱うようになった数奇な運命をたどった方であった。

夜,「レインメーカー」を観た。法廷場面がでてくるので興味深く眠りもせず観てしまった。急激な弁護士人口の伸びを示している日本も,アンビュランスチェイサーと言われるような弁護士社会になっていくのだろうか,証拠開示手続きの日本との違い,法廷での尋問技術,懲罰的賠償の意味など,おもしろい展開の中にもいろいろと考えさせられた。日本にはない,民事裁判への陪審制度などによる市民参加もほんとうは必要なのではないかとこの映画で考えさせられた。行政訴訟,大企業相手の事件などでは,一般市民の感覚が判断の上で重要な役割を持つべきではないだろうか。

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