産廃処分場問題

2008年7月9日

打ち合わせをしている最中,中学校時代の友人から電話,そして途中から恩師に代わった。その地区に産廃処分場が作られる話がでて何年にもなる。過疎化,老齢化の進む中,産廃処分場は嫌だと反対運動を担っているメンバーであるようだ。そろそろ処分場設置認可がなされそうな状況なのである。

今日の電話は,「この裁判は勝てるだろうか」という質問であった。私は,即座に返答に困った。このような裁判で,単純に勝てるか負けるかそのような結論をだすことはできない。単純な法的当てはめの問題で判断できるものではないからだ。まずは住民の方々が勝たなければならないという信念があるのかどうか,勝つための努力をどこまでする覚悟があるのか,何のために勝たなければならないと思うのか,そうしたことが裁判を勝つことができるか否かにかかってくるのである。私の回答が勝てるというのであればのであればやるし,負けるというのであれば止めると言う程度であればこの裁判に勝ち目はない。

あの産廃の豊島の人たちが,公害調停で勝訴的解決を勝ち取ったのは,絶対に島の環境を回復させなければならないという強い覚悟が島民の人々にあったからだ。それを支えるすばらしい指導者もいた。吉永町産廃事件も,異例の展開をいくつもしながら,素晴らしい最高裁の決定を得て,全面的な住民勝利の解決の結論がでた。いつも勝つという判断ではなく,勝たなければならない,そのために何ができるかを住民の皆さんで考え,行動してきた力がその結果を生んだ。

今回の友人からの相談,高齢者社会を迎えている地域である。運動を担えるほど元気なひとばかりではない。あきらめムードもあるのではないか。反対運動の中で,ドイツまでゴミゼロ政策の街にまで主婦たちがでかけて行った吉永町の元気がない。電話の向こうで「勝つか,負けるか」こう聞かれても応えようがないのである。産廃は,適地に設置されるのではなく,もっとも「弱い」地域に設置されるのである。

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