区切りがつきにくい仕事

2008年7月11日

裁判官には転勤がある。転勤の都度,抱えている事件は一度ご破算にできる。場合によっては,むつかしい事件は,エイヤっと後任に任せてしまうこともできる。いずれにしても何らかの形でいちどリセットできるのである。私も仕事を一度リセットしてみたいと思うことがあるが,組織でない弁護士業ではそれはできない。いくつもの事件が進展具合が異なって同時並行的に常に存在するからだ。

今日の一番は,地裁で初回期日の民事被告事件であった。この事件は,調停の時から相談にのっていて,調停が不調となってしばらくして相手方から訴訟提起があったものである。不倫にまつわる事件ではあるが,事案は極めて複雑,その複雑な事情はおそらく相手方には十分な情報がないように思われる。これからが大変な事件である。終了までに1年は必要な事件である。そして,自己破産宣告事件の債権者集会,破産管財人には当方の独特な考えの持ち主の注文にも関わらず,管財人には本当に良く事案を検討して頂いた。これでやっと配当手続きにはいるが,次の債権者集会は9月の終わり頃となる。事務所にかえって,職場での暴力事件について再度の相談であった。ここまでが午前中の仕事であった。

午後は,電話会議による手続きがあった。別荘の欠陥住宅をめぐる裁判である。相手方弁護士は,たとえ当方が勝訴しても何も支払える資産はありませんと言いながら徹底的に争ってくる。本当に何もなければば争うだけむだなことは分かってはいる。それでも、判決を得なければ解決しない状況がある。そして会社の内紛を理由とする仮処分事件の審尋事件。この事件は解決までの目処が見えてきた。9月中頃には決定がでることになるであろう。そして突然の相談で,暴力事件に巻き込まれて,脅されているという事件の相談であった。その間にも,過払い金返還訴訟の和解,破産申立手続き後の債権者ヘのフォローなどが続いた。一つとしてすぐに決着がつくという内容ではなかった。そして,夕方からは明日の書面提出予定となっている事件の準備に記録読みを少しした。こうして切羽詰まった仕事を抱えて,とめどもない仕事を処理していかなければならないのである。かくして,リセットにあこがれ,いつかすべての事件をご破算にしてみたいと裁判官にあこがれることもあるのである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2024年7月
    « 5月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031