あくなきカルトとの戦い

2008年7月13日

霊感商法被害対策弁連の会議に出席のために上京していた。午後1時から午後6時までの毎回ながら長時間そして濃密な会議である。某カルト集団の献金を集めるための指示の凄まじい状況を示す内部資料が配付されていた。この集金ノルマが達成できなければ,サラ金から信者が借りて資金を捻出し,本部に送金していることなどを示す資料もあった。そのなかで,家庭が崩壊し,人格破壊の被害がなお起こされ続けている実情に,法廷での戦い,交渉などその課題はいまだに多い。この弁護団は,結成されて既に20年以上も経過している。被害がなくなれば弁護団は必要ない。これだけ,弁護団が活発な活動をし,次々と画期的な判例を勝ち取ってきた歴史は,深刻なカルト被害がなくならないことの裏返しでもある。こうした活動の中,私も「青春を返せ裁判」という画期的な判決の一つを勝ち取ることができた。来週の法科大学院の講義は「宗教トラブルと消費者問題」である。判例によって形成された理論的な問題は当然に講義することになるが,なぜ弁護士としてこうした問題に関わるのかという視点からも講義をしていきたいと思っている。

帰宅するとテレビドラマ「監査法人」をしていた。現実の事件と重ね合わせて見ていると興味深い。監査制度の問題点が浮き彫りにされている。さらにチャンネルを変えると「家政婦は見た」であった。これこそ,現実の事件そのものにヒントを得た作品であった。「密約」を前代未聞の「密通」に変えての事件処理で,沖縄返還に伴う密約の存在が後に明らかにされるが,20年の除斥期間満了として司法での判断はされずに終わったあの「西山記者事件」との類似性が明らかにあった。憲法条項に関わる「密約」であり,取材源の秘密,報道の自由との関係など,国のあり方を問う問題であったにも関わらず,「密通」として三面記事的に処理してしまったのである。密約の存在が明らかになった後に西山記者の代理人として国対して損害賠償請求事件を担当した弁護士は,霊感商法被害対策弁連の弁護士で,宗教団体の勧誘,教化行為が違法であるとして損害賠償請求をおこした事件を「青春を返せ裁判」とネーミングした弁護士である。

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