授業参観

2008年7月19日

岡山大学法科大学院の授業参観に参加した。現在,「消費者法」を担当しているが,教育のプロの大学の先生はどのような講義をしているのか,どの程度の学力をもって私の講義を聴いているのかそれを知っておきたいと思ったからだ。参観した授業は,親族法と言われている分野であった。率直な感想で言えば,初めて学ぶことを前提とすれば理論的な学習の仕方としては雑であり,実務との関連で言えば,問題背景事実の認識に欠けているという中途半端な講義ではなかったかと思う。もちろんこの講義に先立つ関連授業が当然前提となっていたのかもしれず,そこの評価は正確ではない。

従来の法曹養成制度では,司法試験は,しっかりと体系書を読みこなし,法解釈論を身につけ,最高裁の運営する司法研修所で,裁判官的な「要件事実」教育をしっかりと受けてきた。たしかにこれで確実に高度な法解釈力をつけることができたと思っている。しかし,今の法科大学院は,教育の全体を通じて法曹としての能力を体得していくことが理念として掲げられている。我々実務法曹も,そうした理念に基づいて積極的に教育に関わることになった。その責務を果たすために,講師を引き受けている。法曹としてのあり方を,実務を通じての講義のなかでそれを伝えていきたいと思っている。

しかし,いっきょに法曹人口が増加してきたこと,法科大学院の質がまだまだ確立していないことなどから,いろいろとひずみが生じている。今日,日弁連はこうした事態に直面して,これからの法曹人口について質の問題も含めて検討していくことになった意見書を発表した。http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/080718.html

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