夏期研修

2008年8月2日

昨日から2日間,夏期研修のため広島にでかけていた。日弁連が全国的に各ブロックごとに、この時期,当面する現代的な諸問題に関して研修会を行っている。恒例の行事ではある。今回の中国ブロックでのテーマは、1日目が裁判員裁判における弁護のありかた,2日目は臨床心理学者による問題依頼者に対する対応の仕方,労働審判の活用に関してであった。

1日目の裁判員裁判に関する研修は,設定されたケースについて,冒頭陳述,主尋問,反対尋問,最終弁論などの弁護活動を実際にやりながら,それに論評を加えるという方法でなされた。我々が修習生時代にはまだ尋問技術なるものが語られていた。主尋問のありかた,反対尋問の技術など具体的にその内容についての教育も受けた。しかし,実務にいくとそれらはほとんど意味をなさなかった。現実には,法廷で裁判官が心証を形成すると言うよりも、提出された供述調書を中心として裁判が進められていたからだ。誘導尋問を繰り返しても、ほとんど異議がでることはなかった。むしろ審理を迅速にすすめるために誘導を促す訴訟指揮がなされるぐらいであった。しかし,裁判員裁判となればそうはいかなくなる。法廷での尋問のやりとりが唯一心証形成の材料となるからである。あらためて尋問技術を磨いていく必要性が生まれた。そして,普通の市民である裁判員に、しっかりと問題点を理解してもらう必要がある。弁護人の言葉の影響するその仕組みをも,十分に理解して尋問をしていかなければならない。4時間にわたる講演と指導に,どのように尋問すべきか来年から始まる裁判員裁判に向けてそのあり方について考えさせられた。陪審をテーマとした映画を見て見るのも参考になるのではないか。来年の5月からの実施に向けて、我々の間にも緊張が高まっていく。

そして,きょうは,精神的に病んでいらっしゃる方の相談への対処方法であり,参審の形をとる労働審判事件の現状と,その後の解雇事件等への対処方法などであった。夏期研修に選ばれたテーマはいずれも対応を迫られているテーマばかりであった。

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