裁判員候補者となる確率

2008年8月8日

来年5月21日から裁判員裁判制度が始動する。それに備えて名簿の整備などの手続きが具体的に秋頃から始まる。岡山県の場合,有権者数のうち約5000人に一人の割合であたる確率のように報道されていたと思う。その確率は少ない方であったのではなかったろうか。

有権者の数に対する重大事件数で算出されるのであるから,確率が低いほど平和なところに住んでいることになる。その意味では,岡山県は平穏なところではないかと思う。大阪はその確率が高いところであったと思うが,正確な数値は記憶していない。そうすると,大阪は人口当たりの凶悪事件数が多いことになり,大阪人は危険であるとも結論づけられる。しかし,そのように考えるのは短絡的である。大阪のように大都市では定住している人よりも,昼間に周辺地域から流入してくる人数が多く,その巨大化した人数の中で犯罪が起こっているとも考えられ,一概に大阪人が危険であるとは言えない。善良な市民が多くても,流入人口に比べて定住人口が少なければ,定住する有権者の数に対する重大事件数の割合は高まってくる。そのように考えた場合,例えば大阪で居住している人に大阪地裁の事件についてすべて裁判員を任せることは不平等にならないかとも思える。なかなか,選任される確率を平等にすると言うことは困難なことである。一票の重みに違いがあるがごとく,この場合もある程度は仕方がないのかも知れない。

しかし,これほどの人たちが,これからは刑事司法に関わるようになる。司法に無関心ではいられなくなる。そのことが,「市民」としての自覚をきっと高める方向に作用するものと思っている。裁判員に選任されることによって,民主主義国家を支える健全な市民が多く誕生することになるのではないかと期待している。

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